お月様は見えますか・・・(1)

丘の上にある小さな白い家の窓からまあるいお月様が見えます。赤ちゃんを抱いたママはそのお月様を見つめながら「ほら、きれいなお月様よ。あなたにもみえるでしょ?」

赤ちゃんはママを見つめながら「バブバブ~~」とおしゃべりをしています。

「いつかきっとお月様に連れて行ってあげるからね・・・パパも一緒に行きましょうね」

丸いお月様はやさしいひかりをママと赤ちゃんにそそいでいました・・・

お月様はみえますか?・・・(2)

赤ちゃんは眠ってしまいました。ママはそっとベッドにねかせると「そろそろパパが帰ってくるわね」とつぶやきドアのほうに目をやりました。

「コトッ」小さな音がしてドアがあきました。運転手帽をかぶったパパがはいってきました。「おかえりなさい」ママはうれしそうに出迎えました。

「ただいま・・・ほら、買ってきましたよ。」パパは紙袋をさしだしました。「まあ・・・」ママは中をのぞきこんでニコリとして中身をとりだし「なんてかわいいんでしょう」

ママの手の上に小さな黄色い長靴がのっていました。

「赤ちゃんの名前を書いてやれなければね」パパは赤ちゃんの眠るベッドにいくと幸せそうに見つめていました。

お月様は見えますか・・・(3)

二人は黄色い長靴を持って赤ちゃんのところにいきました。

赤ちゃんは気持ちよさそうに眠っています。ママと同じ薄桃色の肌、パパと同じ

長い耳とまあるいしっぽ・・・

「名前をつけようね」パパは長靴の片方をママにわたしました。

二人は指で長靴のふちをなぞりました・・・奇妙な模様が描かれました。

「もも太」同時に声にだすと顔を見合わせて笑いました。

「お月様では今は太をつけない名前がはやっているのにこんちゃんはなぜもも太にしたの?」パパが聞くと「だってゆう太のこどもだもの・・・ゆう太はなぜ?」

「そのほうがわたしたちのこどもらしいからね」パパとママは黄色い長靴をそっとベッドのそばに並べておきmした。

窓からお月様が三人にやさしい光りをなげかけていました。

お月様は見えますか・・・(終)

「きれいなお月様」だね」

「この窓は特別だからとてもきれいにみえるのよ」

地球から見えるお月様はこんなにきれいでないことを二人はちょっとさみしく思いました。

「人間さんがもう少しお空を汚すようなことをしなければいいのに・・・」お月様もうなずくようにきらめきなした。

「ねえゆう太、みんなを連れてお月様に帰ることはできるの?」

「もちろんできるよ・・・ドリームバスの改造は順調ですよ。灰色さんたちも力をかしてくれますからね。ただ・・・」「ただ?」

パタパタともも太が手足を動かしました。「いいこね・・・」ママはそっとからだをさすってやると静かにまた夢の中にはっていきました。

「灰色さんは大昔十人で地球にやってきたけど、三人が火あぶりにされてしまったよね・・・」

「・・・」ママはポトリと涙を落としました。

「二人は人間さんの中で生き延びることができたけど・・・ひとりだけどうしても行方がわからないんだよ。水晶玉にもうつらない、魔法でもさがしだせない・・・でも灰色さんは死なないからきっとどこかに生きているはずなんだけど」

「動物とか植物の中にはいりこんだとしてもわかるものね。あの時代のさまざまなものをさぐってもだめだなんてどういうことかしら」

「ぜったいに探し出してみんなでお月様に帰らなければね」

きらきらとお月様が光を放ち待っているよと言っているようでした。

「灰色さん、どこにいるの?みんな待っていますよ・・・あなたのいるところからはお月様は見えますか?」二人は祈りました・・・