お話の部屋一覧

謎の黒色さん

魔法のほうきは知っているでしょう?(うんうん・・ふたりは頷きました)
あれは魔法の木からつくったんですよ(えっ?魔女ばあちゃんのほうきも?)
そうですよ・・・でも最初はほうきとは呼ばれてなかったのです
月にはほうきはありませんからね
むか~~しむかし大昔のことでした
まだバリアもなかった大昔・・・
白色族は表側で地球を見ていました 黄色さんは命の森の木陰から地球を見ていました
わたしたちは地球を見るのが大好きですからね

遠くに灰色さんたちが魔法のほうきにのって飛んでいたんですよ そのころは空飛ぶ棒とか魔法の棒とか呼ばれていましたね
いつもなら5人くらいで飛んでいるのにその時は灰色さんが全員でした
輪になったり直線になったり蛇行して飛んだりとそれは不思議な光景でした
今までそんなことはしたことはありませんからね
魔法の棒にはたくさんの薬草がしばりつけられていてそれを時々食べながら長い間飛んでいました
薬草が無くなるとみんな森に帰って行きました
しばらくすると今度は十人が飛んできたのです 前よりもたくさんの薬草をしばりつけて・・・
そして灰色さんと呼ばれる灰色の服がなんと黒い服になっていたのです
十人の黒色さんです
そして前と同じように薬草を食べながらいつまでもいつまでも飛んでいました

もう地球を見るよりも黒色さんたちを見るほうがおおくなってしまいましたね

やがて十人は三角の形になり飛び始めました 時々場所の入れ替えをしてまるで飛び方が上手な人を選んでいるように見えました
それぞれの位置が決まると薬草が無くなってもいつまでもとんでいました
見ているほうは疲れてしまったそうです

黒色さんたちは森の帰って行きそれから長いあいだ誰も姿を見せなくなりみんなはまた地球を見つめる生活にもどりました

どのくらい時が流れたのでしょうか・・・突然また灰色さんたちが全員でとんできたのです
十人の黒色さんもいました それはたくさんの薬草をしばりつけて・・・灰色さんたちは薬草は少しだけでしたね
なにかみんなではなしているようですが灰色さんたちの心の声ではいくら敏感な長耳でも聞くことはできませんね
白色も黄色もそんなに注意してみてはいなかったのですが・・・
突然黒色さんたちが三角の編隊を組みぐるぐる回っていたかと思うと・・・


不思議な灰色族

灰色さんは水晶玉を持っています
これは表側に行って探してくるようですね みんな一つずつ持っているからと
大きな水晶玉をわたしたちにもくれました ゴロゴロころがしてきたんですよ
大小あわせてわたしたちも五個あります
まだバリアがないころはわたしたちは地球を直接見ていましたがバリアができてからはこの水晶玉で
見ます
小さなところまで見えるので今では地球を水晶玉で見ています まるでテレビを
見るようにね テレビはしっていますよね(うんうんおらはみたことがあるよ)
きにろさんもどこかで見たはずですよ(あの四角い箱?わたしは水晶玉はしっています)
灰色さんがどうやって水晶玉をさがしだすのかわたしたちにはわからないのです

灰色族にはしっぽがありませんから(赤ちゃんは?)
赤ちゃんは生まれないのです (じゃあいつかみんないなくなっちゃうのでは?)
灰色さんは死なないのです 白色族や黄色族はいつか白い煙になって命の森に帰っていきますが
灰色さんには誕生もないし死もないのです(おらのかあちゃんは死んじゃったの?)
いいえうさ太のかあちゃんは生きていますよ(でも煙になっちゃたよ)あれは月に戻る手段ですよ
元気でうさ太を待っていますからね
(どうしておらは煙になってかあちゃんとお月様にいけなかったの?)
月から落ちた耳長は月に戻ることができなかったのです それでなんとかならないのかといろいろ考えて
煙にする方法がみつかったのです でもこどもでは煙が月にとどかないうちに消えてしまうからなんですよ
今はこの方法しかありませんね
(灰色さんは年をとらないんですか?)
年はとりますよ それを遅らせるために若返りの薬草を食べていますがそれだけでなく魔法の木ですくった
家で眠りをたらないとだめなようですね(それって魔女ばあちゃんと同じです・・・魔女ばあちゃんって灰色族なんですか?)

そうです・・・それには・・・わけがあります


灰色族・・・

命の森をどんどん行くと様子がかわってきます
細く高い木だったのが太く低い木になり地面はいろんな薬草がみっしりはえています この木には白い実はなりません

ここに背の低い灰色族がいます・・・ちょうど地球の大人の女の人くらいですね
耳も頭の上ではなく人間のように顔の横にあります 人間よりは長く先がとがっています
灰色族と呼ばれいているのは肌のいろではなくフードのついた灰色の服を着ているからです
この服は魔法の木の葉からできれいます
肌の色はうさ太のクリーム色のようですね
灰色さんが服をを着ているのは月の表側に行くことが多いからです
バリアがないと表側は日ざしが強いことが多いですからね

灰色族は命のおもちではなく薬草を食料にしています
いろいろな薬草をからだの調子にあわせて食べているそうですよ
ここの背の低い魔法の木で 灰色さんは家をつくります わたしたちのバリアと同じ働きがあり
外からはみえにくくなっています
灰色さんはあまり寝ないのですが時々この魔法の家で数日寝ています そうするととても元気になるようですよ

灰色さんは時々薬草を持って遊びにきます

その薬草をいれたおもちをついてみんなで仲良く食べるんですよ

「そーれそーれ つきましょう 薬草おもちをつきましょう そーれそれそれつきましょう あま~いおもちをつきましょう」

薬草をいれたおもちは甘くなるんですよ

おいしいおいしいおもちです

灰色さんはおもちを食べたり赤ちゃんをあやしたりこどもたちと遊んだりとても楽しそうなんですよ

灰色さんたちには赤ちゃんがいないから薬草おもちの日は愉しみなんでしょうね(灰色さんに赤ちゃんがいないってどういうこと?)

灰色さんには赤ちゃんおもちができるしっぽがないんですよ(え~~~っ?)


長耳族のお話

長耳は月に住んでいます
月の表側は土と岩があるだけです そこには主に白色族がいるのです
裏側も同じような景色ですが地球の赤道の位置には命の森があります
命の森は長耳族にとってほんとの命の森なんですよ
水もない月ではこの森無しでは生きていけないでしょうね
こちら側には黄色族が住んでいるのですがきっちりと区別されているわけではありません
命の森の前の広場で入り混じっていますね 家で眠るときは白色さんは表側 黄色さんは裏側にいきます
長耳の暮らしている所はこのうさ太の家のようにバリアにつつまれています 昔地球人が来たとか来ないとかいわれたことがあったんですが
ほんとだとしてもわたしたちのことはわからなかったでしょう
外から見えないようにするだけでなく実は月から落ちるのをふせぐためでもあるんです
バリアができてからは落ちる者がへりましたね
ただ森の中は見えないアナがあったりするので危険ですからひとりでは行かないようにしています
命の森の上もバリアがあって外からきたものにはみえないのです 長耳族にはうさ太の家が見えるように
命の森も見えます
長耳は命の森から命の糧をもらっています
森の木には白い実がなりそれをとってきておもちをつくのです
木の大きな器におもちを入れ数人が杵でつきます
「そーれ、そーれ、つきましょう 命のおもちをつきましょう そーれ、それそれ、つきましょう ふわふわおもちをつきましょう」
白色さんも黄色さんも仲良くおもちをつき、仲良く分け合って食べるのです
うさ太もお月様からおもちが届いたでしょう?
きにろさんにはわたしがシチューの中に入れてあげてたんですよ(きにろがヘッ?とびっくり顔になえいました)

長耳族には親子関係はないといいましたよね しかも男女の区別もありません
わたしたちは男でも女でもないのです
では赤ちゃんはどこからくるのか・・・それはわたしたちのしっぽに赤ちゃんおもちがたまっていって
それが満杯になるとポトンと落ちるのです そこからおもちを出して器に入れます
これには決まりがあって・・・必ず白色さんと黄色さんのおもちを同じ数だけ入れなければいけません
しかも一つずつでは赤ちゃんはできないのです 白色さんを二つなら黄色さんも二つですね
数があわないときは多いほうのおもちをしっぽにいれたまま眠らせておきます こんちゃんがその状態ですよ
器にいれた赤ちゃんおもちはやさしくやさしく混ぜ合わせます
「そーれ、そーれ、混ぜましょう 赤ちゃんおもちを混ぜましょう そーれ、それそれ、混ぜましょう かわいい赤ちゃん生まれるように」
そうしていると赤ちゃんおもちはフワフワと白い煙になりまわりのひとたちの手の中に集まり赤ちゃんになるのです
(うさ太がゆう太がそうやって赤ちゃんになったのでうんうんと頷きました)
赤ちゃんはおもちの数と同じか一人二人多くなりますね 白色さんと黄色さんの数もだいたい半々になります
カラになったしっぽはまたあしりにつけておきますね もう一回赤ちゃんおもちがたまることもありますが
だいたい一回が多いですね
赤ちゃんはみんなで世話をするのでかあちゃんという感じにはならないのですよ

長耳族は白色族黄色族以外に・・・灰色族がいます


うさ太の家で

うさ太が顔をだし「きにろさん あっパン屋さんも・・・どうぞどうぞ」中でゆう太のかわいい声がしています

運転手は一瞬緊張しましたがきにろに続いてうさ太の家の中にはいりました

「あれ?ゆう太は寝ちゃったよ 今おらと遊んでいたのに」うさ太は青いタオルをそっとかけました

もうすっかりかあちゃんになっています

「きにろさん何をもっているの?」うさ太が聞くと運転手が「このビンをしばらく預かって欲しいんですよ ここは月と同じ環境になっていつからこんちゃんにはとても居心地がいいんですよ」

「こんちゃん?」「わたしの大事なこんちゃんなんだよ」きにろはそっとビンをテーブルにおきました

運転手はビンのふたをとり「さあこんちゃん気持ちいいでしょ」といいました「月と同じってこんちゃんは月からきたの?」きにろが聞くと「そうですよ きにろさんも月からきたのだしうさ太もわたしも月からきたのですよ」

「へ~ということはわたしは月から落ちたってことなのかい?」「そうですね・・・こどもで月から落ちたのはきにろさんだけですね~うさ太のかあちゃんは大人だったしね」「おらのかあちゃんも月から落ちたの?」うさ太はびっくりしました

「わたしのかあちゃんは月にいつのかね?」きにろは期待を持った顔でききました

「う~~~ん、きにろさんにかあちゃんはいないんですよ・・・というより長耳族には親子関係はないんです うさ太とかあちゃんは特別ですね まあうさ太とゆう太も親子だし・・・もう一組いますけどまだそれは・・・」

きにろが泣き出しました「わたしは・・・ひとりぼっちなんだ~~エーンエーン」「きにろさん落ち着いてくださいよ ここにきたのは二人に長耳族の話をしにきたんですよ

話をきけばちゃんとわかりますから」運転手はあわてて言いました「さあさあうさ太にお土産があるんだよ もちろんきにろさんのぶんもありますからね」取り出したのはメロンパンとチョココルネ

「わあうれしいな~ありがとうパン屋さん」うさ太はなつかしいパンにニコニコしました

きにろも泣き止みはじめてのパンに目を見開きよだれをたらしました「まったくきにろさんは・・・ほかにもクリームパンとジャムパンもありますよ うさたはほかのパンには目もくれなかったけどこれもなかなかのものですよ」運転手はミルクももってきていました

「さあ食べながらわたしの話をきいてくださいね

「あれパン屋さんは食べないの?」「わたしはいつも食べていますからね ミルクを飲みながら話をしますよ」

きにろはパクリとチョココルネにかじりつきチョコがニョロっとテーブルに落ちそうになりあわてて手で受けその手をペロリとなめました「アハハきにろさんたら~~」うさ太は笑いながら自分がそうなったときかあちゃんがメロンパンで受け止めていたのを思い出しました

「わたしたち長耳族は月に住んでいるのですよ」運転手はそう言って帽子をぬぎました

クルクルまるまった耳がシュルシュルと伸びていきました

「あれ?」うさ太がその耳を見て首をかしげました

「わたしの耳はパン屋帽子や運転手帽子でいつも押さえつけているから曲がってしまってるんですよ」

うさ太はなるほどと思いながらもやはり耳を見てしまいました

「長耳族は地球で表側と言われる明るいほうに白色族がすんでいます うさ太のかあちゃんのように白くて眼が赤い色をしています そして裏側の暗いほうには黄色族がすんでいます うさ太やきにろさんがそうですね」

うさ太ときにろはポカンとしてパンを食べることを忘れてしまいました

運転手はさらに話をつづけていきました