「きれいなお月様」だね」
「この窓は特別だからとてもきれいにみえるのよ」
地球から見えるお月様はこんなにきれいでないことを二人はちょっとさみしく思いました。
「人間さんがもう少しお空を汚すようなことをしなければいいのに・・・」お月様もうなずくようにきらめきなした。
「ねえゆう太、みんなを連れてお月様に帰ることはできるの?」
「もちろんできるよ・・・ドリームバスの改造は順調ですよ。灰色さんたちも力をかしてくれますからね。ただ・・・」「ただ?」
パタパタともも太が手足を動かしました。「いいこね・・・」ママはそっとからだをさすってやると静かにまた夢の中にはっていきました。
「灰色さんは大昔十人で地球にやってきたけど、三人が火あぶりにされてしまったよね・・・」
「・・・」ママはポトリと涙を落としました。
「二人は人間さんの中で生き延びることができたけど・・・ひとりだけどうしても行方がわからないんだよ。水晶玉にもうつらない、魔法でもさがしだせない・・・でも灰色さんは死なないからきっとどこかに生きているはずなんだけど」
「動物とか植物の中にはいりこんだとしてもわかるものね。あの時代のさまざまなものをさぐってもだめだなんてどういうことかしら」
「ぜったいに探し出してみんなでお月様に帰らなければね」
きらきらとお月様が光を放ち待っているよと言っているようでした。
「灰色さん、どこにいるの?みんな待っていますよ・・・あなたのいるところからはお月様は見えますか?」二人は祈りました・・・
終