かあちゃんは「コトッ」という小さな音で目をさましました
黒色さんがほうきを立てかけた小さな音でしたが長耳の敏感な耳には聞こえてしまったのです
キョトンとした顔で黒色さんを見ていましたが月から落ちた悲しいことを思い出しました
「よく眠られたかい?」「・・・はい」かあちゃんは小さい声で答えなした
「それはよかった・・・おなかがすいただろ?おもちを持ってきたからこちらにきて食べるといいよ」
テーブルにおもちの入った箱を置き足元におおきな荷物をおきました
かあちゃんは起き上がって赤ちゃんをだこうとすると「赤ちゃんがおきてから食べさせればいいからおまえは先にたべなさい」と言いました
箱の中には小さなおもちとさらに小さなおもちがはいっていました
小さなおもちを手に取ると「いただきます」と口にはこびました
「明日からはここにおもちが届くからね」「はい」
黒色さんは四角いものを出しました「これは知っているね」「はい・・・水晶玉ですね」「ウム・・・水晶玉だけど月で地球をみているものとは違う働きをするんだよ」
「?違うものが見えるのですか?」「そうだね・・・見えるというより知らないことを調べるものなんだよ」
「調べる?」「これからしばらく地球で暮らさなければいけないからいろいろ人間さんのことやこのあたりの様子を知っておかないとね」
「ここにいれば安全なのではないのですか?」「そうここは安全だけどこの中にずっといるだけでは退屈してしまうだろうね・・・」
「外に行くってことなのですか?」
黒色さんはうなずいて四角い水晶玉をかあちゃんの方にむけました
「人間さんって心の言葉で言ってごらん」かあちゃんは言ってみました
水晶玉の画面になにかでました「これに右手をあててごらん」かあちゃんは右手をそっとあててみました
「わかったかい?」かあちゃんの頭の中に人間さんのことがはいってきました
「フワァ~~すごい」「わからないことや知りたいことがあったらこうやって調べるといいよ」
かあちゃんは頷きました「今度は人間さんの親子って思ってごらん」
「はい・・・」またなにかでました 右手をあてると頭の中に不思議なことがでてきました
「赤ちゃんはおかあさんがってひとが・・・おかあさん?」かあちゃんは首をかしげました
「赤ちゃんの名前はかんがえたかい?」「・・・わたしが名前をつけてあげなければね・・・うさ太・・・うさ太にします」
「うさ太・・・いい名前だね」「はいお月様にいたときの仲良しだった赤ちゃんの名前です」
「・・・ふむ・・・ところでお前の名前は?」「わたしはかあ太といいます」
そのとき「かあちゃ・・んかあちゃ・・・ん」赤ちゃんうさ太が声をだしました
「ウフフ・・・お月様のうさ太も最初は口がうまくまわらなくてわたしをかあちゃってよんだんです」
「いや・・・かあちゃじゃなくてかあちゃんってよんでいるようだねぇ」
「えっ?かあちゃんておかあさんのことですね・・・なぜ?」
「うさ太にもおもちを食べさせてあげなさい」「はい」ぁあちゃんはうさ太を抱き上げおもちを口元にもっていき「あらおもちが大きすぎます」
黒色さんがおもちを二つにわけてくれました「うさ太お食べなさい」かあちゃんは小さくなったおもちをうさ太に食べさせました
おいしそうに食べ「かあちゃん、かあちゃん」今度ははっきり言いました
「まあ・・・わたしをかあちゃんって・・・うさ太わたしがおかあさんになってあげましょうね」
黒色さんはこどものかあちゃんが少し大人になったのがわかりました