わたしが目を開けると「おやおややっと気が付いたね」と声がしました 最初はなにを言っているのかわからなくて耳をピコピコ動かしました
痛みがツ~ンとしたけれど言葉はわかるようになりました
「怖がらなくてもいいよ わたしは魔女・・・ばあちゃんだよ」「魔女ばあちゃん?」
「お前の名前はなんていうのかい?」「な・ま・え・・?」
さっぱりわかりませんでした
「どこから来たのかはおぼえているかい?」「どこから?来た?」考えてけれど思い出せませんでした
「おやおや頭を打ったせいでなにもかも忘れてしまったのかい・・・まあそのほうが幸せかもしれないね なまじ覚えていて帰りたいと泣かれてもね~~わたしにはどうすることもできないし」
わたしは頭も痛かったしただぼんやりするばかりでした
「おまえは頭から血を流して森の中で倒れていたんだよ ああ昔見たことのある長耳族のこどもだってすぐにわかったよ」
「長耳族?」「うんうん長耳だよ・・・白い血を流して気をうしなっていたんだよ まだほんの小さなこどもだったからてっきり死んでいるかとおもったよ・・・いやいやよく生きていたもんだよ あんな高いところから落ちてきたというのに」
「高いところから?どこから?」
「いや・・・空から落ちてきたとしかわからないよ」
魔女ばあちゃんは小さなわたしを抱いて急いで家に帰り傷口に薬草をぬったそうです
果たしてう薬草が長耳に効くかどうかはわからなかったけれどほかに方法がなかったからね
いつまでも白い血は止まらないし傷口はぱっくりあいたままだし魔女ばあちゃんはあきらめかけていたらしい
でもやっと血が止まり傷口もふさがり・・・そして目をあけたんだって
わたしはこのへんの記憶もはっきりしていなかったんだけど・・・うさ太のおかげで思い出せたんだよ まるでうさ太が魔法をつかったみたいだね
魔女ばあちゃんは「おなかがすいtだろう¥・・・これをお飲み」と黒い飲み物を持ってきました「これは見た目が悪いけれど薬草がいっぱいはいっているからお前のからだにもきっといいだろうよ」
わたしはその見た目にちょっとびっくりしたけれどおなかもすいたいたので飲みました
どうってことのない味でした(このときからわたしはこの黒いシチューだけを飲んでいたんだけどね)
「おまえに名前がないのは困るから・・・黄色い・きいろ・きにろ・・・うんうんこれがいいね お前は今日からきにろだよ」「き・に・ろ・・・」
でもそれかれ何度もこの名前を忘れてしまい「きにろきにろ」と魔女ばあちゃんに呼ばれてもぼんやりしていて「アハハきにろはおまえの名前だよ」と笑われました
ほかのことも魔女ばあちゃんが教えてくれたのですがすぐに忘れてしまいました でも魔女ばあちゃんは根気よく何度でも繰り返し教えてくれました
「頭を強く打ったのだからしかたないことさ そのうりよくなってくるから大丈夫だよ」
やがて家の中を歩き回れるほど元気になりました
すると魔女ばあちゃんはわたしに黒い服を着せ長い帽子をかぶせ「これはとってはいけないよ おまえの姿を隠すものだからね 人間というのは姿かたちが違うというだけでひどいことをするんだよ さすがに火あぶりなんかはなくなったけどね それと明るいときは外に出てはいけないよ このへんは森の中だから人間はめったに来ないだろうけど・・・」
暗くなると魔女ばあちゃんはわたしを連れて森の中に行き薬草になるものを教えてくれました
忘れっぽいわたしに「薬草を覚えるのは悪いけれど毒になるものは本能的にわかるようだねぇ 長耳はきっとそんな力があるんだろうね」と言いました