きにろの昔ばなし・・・

「こんちゃ~ん」「クククク」「こんちゃ~ん」「クククク」ようやくこんちゃんが泣いている場所がわかりました

なんとゴミ置き場だったのです たくさんのゴミ袋がありました この中のどれかにこんちゃんがいるのです

ここはわたしのとって危険な場所です 人間の生活圏の中ですから 見つかれば・・・火あぶりってこともありますからね(魔女ばあちゃんが言ってました)

わたしは魔法を使いました うまくいくかわからなかったけれど・・・手をひろげ「こんちゃんのふくろ~~~こっちにこ~~い」するとひとつの袋が浮かびわたしのほうに動いてきました

まるで魔女ばあちゃんが魔法をつかったみたいに・・・

「こんちゃん」「ククゥ」

袋を急いであけました・・・アアこんちゃんが・・・

いろんなぬいぐるみやおもちゃにまざって汚れて目や鼻もとれ耳も片一方なくなり・・・かわいそうに

「魔女さん急いで急いで魔女さんのお家に連れてって」

わたしはこんちゃんを抱きしめほうきに乗り大急ぎで飛び立ちました わたしだって怖くて早くその場所を離れたかったのです

家にもどるとこんちゃんをテーブルのシチュー鍋のそばの暖かそうなところにおき「いったいどうしたの?坊やとママはどうしたの?」訪ねました

「お願い・・・あの棚にある薬草の空きびんを・・もってきて・・・そして若返りの薬草の粒を一つ入れて」

苦しそうに言いました わたしは言われたとおりにビンに薬草の粒を入れこんちゃんのそばに置きました

「ぼくの首を・・・胴体と切り離して」「ェッ!!」

「お願い・・・急いで」

こんちゃんは頭に心があるのだからと言われたとうりに切り離しなしました

「頭の中から綿を取り出して・・・その中にぼくの心があるから外に出したてこんちゃんの頭の・・・ピンクの布でくるんでビンに入れふたをして」

綿の中から小さなおもちのようなものがでてきました

少し硬くなっているようなおもちです

ビンに入れふたをすると「ああ・・・ああ・・・生き返ったようだよ・・・もうだめかと思った・・・魔女さんのお役にたてなかったらどうしようと思ったんです・・・」

「なにがあったの?」

「うん・・・ぼくのぬいぐるみの役目がおわったんです ママのおうちは引っ越すことが決まって荷物の整理が始まったんです その前から坊やはもうわたしに関心が無くなっていて・・・おもちゃ箱に放り込まれていたぼくをママは棚においてくれました そこは坊やがよく見える場所でした ママもよく見えました ぼくは二人を記憶の中にしまいそろそろ魔女さんのところに行こうと思い始めていたのです

荷物の整理でママは坊やに・・・こんちゃんはどうするの?・・・と聞いたのです 坊やは・・・いらな~~い・・・・と ママはぼくをそっと抱きしめました

そしてゴミ袋に・・・ママの心の声が最後にきこえました・・・ごめんねこんちゃん・・・」

「なんてことをするんだ」わたしは腹がたちました

「ううんぼくはこうなることを予感したいたから平気だったけど・・・捨てられてからはなにも見えないしポイポイポイ放り投げられるし・・・早く夜になってくれないかと思ったんです 夜でないと魔女さんを呼べないものね」

こんちゃんは淡々と話しました

でも・・・「これからぼくは眠ります いつか魔女さんのお役にたつ日まで眠って・・・おやすみママ・・・おや・・す・・・」そう言ってこんちゃんは眠ってしまいました

おやすみママ・・・なんてきっと思い出していたんでしょうね ママと坊やを

魔女ばあちゃんもこんちゃんも寝てしまいわたしはひとりで毎日をなんとなくぼんやりすごしていました

夜になると・・・森に薬草を取りに行ったりほうきに乗って空をなんとなく飛んでみたり・・・水晶玉をクルクルのぞいてみたり・・・シチューを飲んで居眠りしたり・・・

そんなある日わたしは水晶玉の中に長耳の二人を見つけたのです

うさ太とかあちゃんでした

うさ太はわたしが魔女ばあちゃんに助けられたころとおなじくらいの大きさでした

黄色くて目が青くて・・・わたしと同じ

それからはうさ太とかあちゃんのことが気になって目がはなせなくなり・・・

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