うさ太は眠っているゆう太を見つめ微笑みました
「これはゆう太だって証拠だね」うさ太はゆう太の右耳をそっとなぜながら思いました
ゆう太の右耳の先は少し外側にまがるのです
そっと伸ばしてもしばらくするとちょこっと曲がります ほんとに少しですからこれうさ太にしかわからないのかもしれません
「かわいいな~きっとおらのこともかあちゃんはそう思ったんさろうな~」
窓から少し欠けた月を見つめて哀しげに顔をくもらせました
「おらは・・・ゆう太をおいて月にいけるだろうか・・・でもいかなければかあちゃんには会えないし」
かあちゃんを思うと胸はりさけそうでした
ゆう太を見るとひとりぼっちになった時の哀しみを思い出しとてもゆう太をひとりにできないと思うのです
別れはまだまだ先のことでしょうがうさ太は考えずにはいられないのです
「お月様 ゆう太と一緒に行ってはいけないのですか?どうか一緒に行かせてください お願いします」
うさ太は祈りました
お月様は雲の影に隠れてしまいました
うさ太はゆう太を見つめました・・・涙は流さなかったけれどゴクリと飲み込んだ哀しみはちょっと涙の味がしました