うさ太は目が覚めました いつものように日が昇る前です
「アッ」うさ太は飛び起きました あわててテーブルの上を見ると昨日し残したお仕事がはじのほうにまとめておいてありましたが箱はありませんでした
ドアをあけてみるといつものように新しいお仕事の箱とおもちの箱がおいてありました 家の中に運び込みおもちの箱はテーブルの上に置き「おもちはもう一個だね・・・かあちゃんはいないしカゲのかあちゃんは食べることができないものね」
カゲかあちゃんはいつもかあちゃんがすわっていた椅子にすわりました・・・おはようかあちゃん・・・
かあちゃんは笑顔でうなずきました
・・・ごめんねおらの分しかおもちがないんだよ・・・
・・・いいのよ・・・というようにかあちゃんはおもちをうさ太にすすめるように手をさしだしました
うさ太はおもちを食べましたがなんだかのどを通りませんでした ミルクがないせいかな~と思いながらもうさ太はおもちしかたべませんでした
うさ太はいつものように洗濯斗」そうじをし・・・かあちゃんお天気もいいし公園にいこうね・・・耳をピコピコ動かして公園にあまり人がいないことを確かめました
かあちゃんがいたときはうさ太には様子がさぐれなかったのに今日はとてもよくわかりました
黄色い長靴はもう小さかったのですがやわらかいうさ太の足はなんとかいれることができました
かあちゃんが買ってくれた白い長靴ははきませんでした
カゲのかあちゃんとは手をつなげないのは悲しかったけれど
かあちゃんはうさ太にしか見えないのだけれどそれでもかあちゃんがいるようで心が落ち着きました
パン屋さんがきたらメロンパンがほしいなと思ったけれどあきらめました
だってうさ太はお金を持っていなかったからです
いつもかあちゃんが白いエプロンのポケットから白いお財布をだしお金をはらっていたのです
パン屋さんはうさ太が公園に行ったときにはきませんでした
公園に行かないときも耳を動かしてみましたがパン屋さんはきていないようでした
そうやってカゲのかあちゃんとしばらくすごしていましたいついつのまにかうさ太はなにもできないカゲのかあちゃんの面倒えおみるかのように・・・かあちゃん○○しようね・・・声をかけていたのです
うさ太は積極的に動くようになりました かあちゃんに甘えていたときのうさ太とは違ってきていました
そんなときうさ太は公園の帰り道にすれ違った人の声をきいたのです かあちゃんといたときはまわりの人の言葉は耳にはいりませんでしたからその言葉はズ~~ンと心にしみこみました
「そうだもうかあちゃんはいないんだ・・カゲのかあちゃんはおらにしかみえないんだからね」
声にだしたみるとそれははっきりと実感できました
家に着くとうさ太は黄色い長靴とシャベル、バケツをきれいにふき棚の奥にしまいました
そして白い長靴を玄関に置き白いエプロンをしました
ポケットがふくらんでいるので手をいれると白いお財布がでてきました 中にはちゃんとお金がはいっていました
「かあちゃんはおらが困らないようにちゃんとしておいてくれたんだね」
そしてカゲのかあちゃんに・・・かあちゃんおらのそばで見守っていてくれてありがとう、おらはやっとひとりでやっていける自信がついたよ、今晩魔女さんにかあちゃんをかえそうと思ってる、ごめんねかあちゃん・・・
するとカゲのかあちゃんは抱きしめることはできないのにまるで抱きしめるようにうさ太のからだのまわりに手をまわしました
うさ太はお仕事をがんばってしてしまい夜になってから外におくと窓のところにいって・・・魔女さん魔女さんおらのところにきてください・・・と心の声で呼びました
しばらくすると「ガタガタギシギシ・・・」魔女のほうきの音が聞こえてきました
「やあうさ太どうかしたのかい?」魔女は心配そうな声でききました「魔女さんお仕事なのに呼び出してごめんなさい」
「いやいや・・・そんなことはかまわないさ」実は魔女は居眠りをしていてまだ仕事にでていなくてうさ太の声でとびおきたのですけどね
「魔女さんカゲのかあちゃんをお返ししようと思って・・・」
そしておわてて棚の奥にしまった黄色い長靴を取り出してきて
「おらはもう赤ちゃんじゃないんだ、この長靴に無理に足をいれていたんだよ もうかあちゃんの買ってくれた白い長靴をはかなければいけなかったんだ」
うさ太とくらべるとその長靴はあまりにも小さく見えました
「それでうさ太はひとりで大丈夫かい?」「うん、もう大丈夫だよ ちゃんと大きくならなければかあちゃんのいるお月様にいけないと困るからね」
「それならいいけどね・・・うさ太後ろをむいていなさい かあちゃんを消すところは見ないほうがいいからね」
うさ太はかあちゃんに・・・さよなら母ちゃん元気でね・・・と言いました
かあちゃんはうさ太を見つめ手を小さく振りました
うさ太は後ろを向きました きっとすごい魔法消すからうさ太のは見せたくなかったのでしょうか
魔女はカゲのかあちゃんをヒラリと床の上にひろげるように置きうさ太のほうを見ながら黄色い長靴を取りカゲのかあちゃんでくるくるとくるむとサッとポケットにいれてしまいました
まあまあ、なんという魔法でしょうか それに長靴を盗むなんてなんてやつでしょう
長靴が欲しければうさ太にそう言えばくれたでしょうに・・・
魔女は「終わったようさ太」と声をかけました
うさ太は振り返りキョロキョロと見ました
・・・かあちゃん・・・呼んでみました 声なんてかえっては
ないけど
うさ太は長靴が無くなっていることは気がつかないようでした
「じゃわたしはもういくよ・・・また用があったら呼んでおくれ わたしにできることならなんでもしてやるからね」
ガタガタギシギシほうきをならして魔女は飛び去って行きました
「ああ・・・ほんとのひとりになったんだね かあちゃんおらがんばるからね かあちゃんに会えるときはおらはおとなになってるよ・・・でもかあちゃんには甘えさせてね」
お月様は三日月でした・・・