お話の部屋一覧

うさ太とかあちゃんとパン屋さん

うさ太とかあちゃんは朝ごはんがすむと洗濯とそうじをはじめます
かあちゃんはうさ太にしっかりと洗濯とそうじのしかたを教えています いつかひとりになっても大丈夫なようにと そのほかに料理や買い物のしかたやバスに乗る方法などもね(封筒はりはまだです)
かあちゃんはその日が近いと感じていました

お天気がよいと公園に遊びに行きます
かあちゃんは白い長い耳をピコピコ動かして公園の様子をさぐります
かあちゃんはあまり人が多いと公園には行きません うさ太もそれは苦手なので小さな耳を動かしてみますがまだまだうまくさぐれないのです

公園には時々パン屋さんの車がきます
プップー・プップー・・・焼きたてパン屋がやってきた
プップー・プップー・・・焼きたてパンはいかがかな?
焼きたてパンを食べようよ
フワフワパンだよ・・・おいしいよ
焼きたてパンを食べようよ

パン屋さんが来る日は子供たちや親子連れがたくさんきますがかあちゃんとうさ太はがんばって公園に行きます
だっておいしいパンを食べたいものね

うさ太とかあちゃんはパン屋さんがドリームバスの運転手さんだと気が付いています
でも・・・うさ太たちのことをパン屋さんに知られているとは思ってもいませんでした

うさ太はお月様のようなメロンパンが大好き、かあちゃんはチョココルネが好きなようです
でも二人ともみんながワアワア言って買っているところになかなかはいっていけなくてモタモタしているうちにいつも最後になってしまいます

ときには大好きなメロンパンが売れてしまうことも・・・うさ太は悲しげな顔になります
そんなときパン屋のおじさんは「お~やおやこんなところにメロンパンが・・・うっかりしてだしわすれたよ」
うさ太のほうを見ながら大きな声をだします
うさ太はピョンピョンはねておお喜びです

うさ太とかあちゃんが手をつなぎうれしそうにはねながら帰っていくとパン屋のおじさんは「今日も商売繁盛だね」ニコニコしながらパン屋帽子をとり額の汗をぬぐいました「今夜もドリームバスを走らせないと魔女に催促されちゃうからな~」そういいながら白い長い耳をクルクルまるめてパン屋帽子をかぶりました・・・アレアレこれは?


魔女のひとりごと

魔女はうさ太はかあちゃんから生まれたのだろうけどかあちゃんは誰から?そう思い水晶玉クルクル過去に回してみました
あれれ~~かあちゃんは突然現れました
魔女は何度もやってみましたがかあちゃんは突然現れるのです しかもかあちゃんは泣いていました
毎日毎日泣いているのです
かあちゃんのまわりには日がたつにつれ箱が増えていきました どうやら封筒はりの仕事の箱のようです

やがてかあちゃんはなくのをやめてただひたすら封筒はりをはじめました ひと箱すむたびドアの外におかれ
部屋の中におかれた箱はなくなりかあちゃんは今と同じように朝夜明け前にひと箱を部屋に入れ仕事が終わると夜中にドアの外に置くというようになりました
そうすると仕事の箱の上に小さい箱が置かれるようになりかあちゃんはその中のおもちを食べるようになりました かあちゃんはやせ細っていたけどお餅を食べるようになると元気な姿に変わっていきました

・・・かあちゃんはいったいどこからきたんだろうね
このわたしにもさっぱりわからないよ それになぜあんなに泣いていたんだろうね・・・
それは魔女のきにろにも解けない謎でした
こんなことをするとシチューは白い泡をブクブクとたて
その泡にふれるたび魔法のしゃもじは飛び跳ね鍋の外に逃げてしまいます
魔女は棚のビンからどす黒いものを鍋に入れては黒いシチューにもどします

・・・やれやれこれじゃあ居眠りもできないね~・・・
魔女はグジグジとぐちってばかりです


かあちゃんの思い

かあちゃんのお仕事は封筒はりです
朝いちばんにドアの外に置いてあるお仕事のはいっている箱とその上に乗っている小さな箱を部屋に入れます
お仕事の箱をテーブルのそばに置き小さな箱は大切に
テーブルの上に置きます
そのころうさ太は目を覚まし顔と手を洗うとお手伝いをします
テーブルの小箱からお餅のような白いものを取り出しおさらにのせます

そしてコップにミルクを注ぎます 以前はこぼしてしまうこともあったけど今は上手に注げます
それからかあちゃんのところに行ってサラダ、ハムエッグ、トーストをはこびます
「かあちゃんはパンになにつける?おらは今日はバターだよ いっぱいつけよ~っと」
かあちゃんは笑いながらイチゴジャムをとりだしました

 

テーブルの上はおごちそうですね

二人は最初にお餅のような白いボールを食べます
これは必ず食べないといけないのです 二人の命の元ですから・・・
これさえ食べればなにもいらないのですがおいしいものも食べたいですからね
「おいしいね~かあちゃん」「ほんと・・・おいしいわね」二人はしあわせそうに顔を見合わせます

かあちゃんはお餅を食べるたびに大きくなっていくうさ太をうれしそうに・・・さみしそうに見つめます
まだ封筒はりの箱はかあちゃんの分だけですがやがてうさ太の分も運ばれてくるでしょう
かあちゃんはそれが怖くてたまりません・・・・

いつまでもいつまでもうさ太のそばにいさせてください
お月様にお願いするかあちゃんですがうさ太はそのことに気がついていないのです

ああ・・・かちゃんはやがて・・・


魔女のひとりごと

魔女のきにろはたっぷりシチューを飲んで居眠りでもしようとしていました クルクルと水晶玉をまえあしながら・・・

・・・そういえばあの日もこんなふうに水晶玉をまわしていたっけなあ

その時目にとびこんできたのがあの親子の姿

いや~~まったくびっくりこっくり目が覚めたよ

ありゃ~~これはまったくいやいや驚きだ・・・

 

魔女は親子・・・うさ太とかあちゃん・・・の姿を見てから

気になって毎日のように水晶玉を見ていましたがそのうちに親子の家にいってまでその様子をのぞき見するようになりました

 

・・・わたしにはかわった姿に見えるけどどうやら人間にはふつうに見えているようだな・・・

 

ますます気になって目が離せなくなってしまったのです

 

 

 


うさ太とかあちゃん(1)

うさ太は大好きなかあちゃんと暮らしています
かあちゃんの目は赤くてとてもきれいです うさ太の目は違います 暗い青の目です「かあちゃんおらの目はどうして赤くないの?人参が嫌いだからかな~」
するとかあちゃんはうさ太の目をのぞきこんで「うさ太の目はかあちゃんの大好きな夜のお空の色なのよ 目の中にはお月様が見えるのよ 素敵でしょ?」といいました
「えっ?お月様が見えるの?」うさ太は鏡をのぞきこみました でもお月様は見えません
「お月様いないよ~」うさ太がベソをかくとかあちゃんは「大丈夫よ そのうちうさ太にもみえるようにんるからね」

かあちゃんは真白なはだをしています 長い耳もまあるいしっぽも真白です
うさ太のはだは黄色です 長い耳と丸いしっぽはかあちゃんと一緒の白なのですが・・・うさ太は小さい頃おふろでごしごし洗えば白くなると思っていました
でもいくら洗っても白くならなくて泣きました
「エ~ンエ~ン白くならないよ~~」
「泣かなくていいのよ かあちゃんがお月様のような黄色の肌で夜のお空の色の目をした赤ちゃんをくださいってお願いしたのよ 初めて会った日を覚えているでしょ
どんなにかあちゃんが喜んだかを」
うさ太はかあちゃんに初めてだっこされたときをよく覚えています 柔らかな白くあたたかい胸の中で幸せいっぱいだったことを・・・