お話の部屋一覧

命の森に・・・

「あれれ?ママはどこ?」きにろママはキョロキョロしました
「だいじょうぶだよ 廃位栄さんがちゃんとお世話してくれるから」うさ太かあちゃんがいいました
きにろママは安心した顔になりました
こんちゃんは落ち貴様の仲間たちを見回してニコニコわらっていました
もうすっかり元気になっていました
「なんてかわいいの?」「きれいな色だね~」みんなはこんちゃんにくぎずけでした

しばらく日がたって灰色さんが新しい二本の魔法のほうきをもってとんできました
「ほら「新しいほうきですよ うさ太ときにろのですよ」
「ママは?ママのほうきは?」きにろママは心配そうな顔をしました
「・・・魔女ママは地球に帰りましたよ・・・地球での生活が長いので完全復活するには地球にもどる必要があったんです」
きにろママはがっかりしました「一緒に暮らせると思ったのに」
「魔女ママはちゃんときにろを見守っているからと言ってましたよ 元気になればまた遊びにくるでしょう」

うさ太ときにろママは新しいほうきに乗って時々灰色さんのところにでかけました
きにろママはこんちゃんを抱いて一緒にでかけました
こんちゃんは魔法のお勉強をしていたようです
やがてきにろママが大きくなってしまいほうきのバランスがとれなくなるとうさ太かあちゃんが
抱いていきました
そしてこんちゃんはひとりでほうきにのれるようになると・・・灰色さんと同じように薄いピンクの布を身につけるようになりました
灰色さんは走り回ることはなかったのですがこんちゃんはみんなと走り回って遊んだのでひらひらとおインクの布がゆれてとてもきらいでしたね
今までと違ってお月様での生活は楽しく愉快なものになりました
月の森幼稚園はおとなもこどもも新しい遊びが加わってもう地球を見つめているだけではなくなったのです

月日が流れれば命の森に帰って行く日がきます
みんなそれはごくふつうのことと受け止めています
地球で長く暮らしていたかあちゃんは同じときに生まれた兄弟(地球的表現ですね)よりも成長が遅かったけれど
やがて・・・その日はやってきたのです
「うさ太・・・みんなも・・・かあちゃんは命の森に行くときがきました」
「えっ」うさ太かあちゃんは目を見開いてかあちゃんを見ました
かあちゃんは静かにうなずき「これはお別れではないのよ・・・かあちゃんの姿がかわるだけなのよ」とうさ太を抱きしめました
「さあうさ太 そしてみんなもついていらっしゃい」かあちゃんはそういうとフワァ~~と白い煙になり
命の森のほうにフワフワ飛び始めました
「かあちゃん」うさ太かあちゃんは声をふるわしかあちゃん煙をおいかけはじめました
もちろんわたしたちも・・・
かあちゃんは一本の木にすいこまれました
「かあちゃ~~~ん」うさ太かあちゃんは泣きながらその木に抱き付きました
きにろママはどうしていいかわからなくてオロオロしてしまいました
でもしばらくするとうさ太かあちゃんはあれ?というような顔をしました「かあちゃんだよ・・・この木はかあちゃんだ」
わたしたちも木に抱き付きました「ほんとだね かあちゃんがいるよ」
それは姿を変えたかあちゃんでした
かあちゃんはいなくなったわけではなかったのです
それからはかあちゃんに会いたくなったらトコトコと命の森のかあちゃんの木にだきつけばいいのです

月日は穏やかに流れみんな月の森幼稚園で仲良く楽しくすごしていました
うさ太かあちゃんはあまり灰色さんのところにいかなくなりました
「おらのできる魔法はこのくらいみたいだね・・・」
でもこんちゃんはまだまだお勉強があるようで「いってくるね~~」と手をふってでかけることが多くありました

そして・・・「こんちゃん・・・ママの番がきたようですよ」ときにろママは言いました
「えっ?」こんちゃんはきにろママに抱き付きました
「これがお別れではないことはわかりますね」「はい・・・」わかってはいてもこんちゃんはうつむきました
「うさ太かあちゃんもゆう太もいるからなにも心配はないしいつでもママにあいにくればいいのですからね」
「はい・・・」こんちゃんの声はふるえていました
うさ太かあちゃんがこんちゃんを抱きしめました
「さあ・・・こんちゃんついていらっしゃい!!」きにろママはふわりと白いけむりになり森のほうに流れていきました
こんちゃんは「ウググ」と奇妙な声をだしトコトコおいかけました
もちろんわたしたちも・・・
かあちゃんの時と同じように木の中に消えていきました
「ママ!!」こんちゃんのかなしげな声が響きました
でもしばらくするとこんちゃんはママを感じたようでしばらく木に抱き付いたいました

お別れではないってわかっていても姿が消えるとびっくりしますからね


こんちゃんがやってきた

月の仲間たちは地球に行ってしまったきにろがもどってくるか心配していました
「うさ太かあちゃん・・・きにろはどうして地球に行ってしまったの?お月様が嫌いになってしまったの?」
「大丈夫きにろは帰ってくるよ・・・素敵なおみやげをもってね」
「おみやげ?地球のおみやげ?」みんなは顔を見合わせてちょっとうれしそうに「おみやげってなんだろうね」と言い合っていました
やがて飛び立っていったときと同じように猛スピードの魔法のほうきが飛んでくるのが見え始めました
「きにろだよ きにろが帰ってきたよ」
灰色さんが数人ほうきにのって慌てて飛んできました
何か持っていました・・・魔法の木で作ったボールに薬草がたくさんはいっていました
そしてそれをかき回しながらなにか魔法をかけているようでした
薬草はグニョグニョとしはじめやがて白い液体になりました
お月様には水のようなものはありません みんなはびっくりして見つめていました
わたしたち地球にいたものだけがそれがミルクだということがわかりました
ゴォーと大きな音がしてきにろの乗ったほうきが飛び込むように着陸しました
きにろは真っ青な顔になっていました 魔法のほうきもささくれだってボロボロでした
灰色さんは大急ぎできにろのエプロンポッケから赤ちゃんをとりだしました 小さな青白い赤ちゃんが
ぐったりとなってでてきました
灰色さんは慌ててミルクの中にあかちゃんをいれからだをそっとなぜながらなにか魔法の言葉をつぶやいていました
もうひとりの灰色さんは小さないれものにミルクを入れきにろに飲ませました
またもうひとりの灰色さんは魔法のほうきにミルクをあたえました
ほうきはゴクゴクとミルクをのんでいるかのように柄の先をミルクの中につっこんでいました
あんなにささくれ傷ついていたのにほうきはきれいになっていきました
でも灰色さんはほうきをかつぐと大急ぎで魔法の森にむかって飛び立って行ってしまいました

やがてミルクの中の赤ちゃんはゴクリゴクリと小さな口でミルクを飲み始め顔色も薄いピンクになってきました
「もう大丈夫」灰色さんは赤ちゃんを抱き上げきにろの腕の中にいれました
「ママ」小さな声で赤ちゃんはきにろを見つめながら呼びました「ああ・・・こんちゃん」きにろはやさしい声で
赤ちゃんに声をかけそっと抱きしめました
そのときからきにろはみんなから「きにろママ」とよばれるようになったんですよ
みんなは薄ピンクで三角耳の小さな赤ちゃんに見とれてしまいました
パチリと開けた目は紫色でしたからそれもびっくりしてしまったのです
お月様では見かけない色でしたからね
こんちゃんは元気に育ちました 小さかったけどね
月の森幼稚園ではわたしのあとを「ゆう太~」追いかけまわし家に帰ると「ママ~ママ~」ときにろママにだきついれいました
地球はますます汚れわたしたちを囲うバリアは厚みを増し見上げてももう地球のかたちすらみえませんでした
わたしたちは水晶玉でしか地球を見ることはできなくなっていたのです
少しずつなにかが変化をし始めていたのでしょう・・・


新しい流れの始まり

「たいへんだ~~」ある朝早くにうさ太かあちゃんは大声をだして飛び起きました
わたしたちはびっくりして起き上がりうさ太かあちゃんを見ました
「きにろ~~こんちゃんが呼んでいるよ」その声にきにろもなにかを感じたようで「あ~~たいへんだよ」
おろおろと歩き回り泣きそうになっていました
「きにろ急いで地球にいくんだよ」うさ太かあちゃんの言葉を聞くとかあちゃんは壁にかけてあった
魔法のほうきと白いエプロンをもってきてきにろのからだにエプロンをつけてやりほうきを持たせました
「さあきにろおらがゆう太を連れてきたようにこんちゃんをエプロンポッケに入れてつれてくるんだよ」
「うさ太も一緒に行ってくれるよね」「おらは行けないよ・・・こんちゃんはきにろを待っているんだよ」
「わたしひとりで大丈夫かな~」きにろは不安げでした
「大丈夫だよ」うさ太かあちゃんはきにろをはげましました
「わたしひとりで地球までほうきを操縦できるかな~」「なにを言ってるんだい・・・これは魔法のほうきだよ
しかも魔女ばあちゃんのほうきだよ ばあちゃんが力をかしてくれるから安心だよ」
「そうだね」きにろはほうきを持って外にでました
かあちゃんもうさ太かあちゃんもそしてわたしもきにろに続いて外にでました
きにろはふきにまたがると「じゃあいってくるね・・・こんちゃん待っててね今いくからね」
ほうきがとびだしました・・・まわりではみんなも何事かと見つめていました
「わぁーーー」みんなが驚くほどほうきはスピードをだしあっというまに見えなくなってしまいました
「きにろは帰ってくるかしら?」かあちゃんが少し不安げにつぶやくと「大丈夫だよ・・・おらたちがここに
いるってことはなにもかもうまくいくってことだもんね」うさ太かあちゃんはこたえました
かあちゃんも「そうね」とうなづきました
うさ太かあちゃんはわたしを抱きしめると「ゆう太の大事なおともだちになるだろうね」とささやきました
わたしはこんちゃんのことは地球にいたときの家の中のテーブルの上にあるビンのことだとおもっていたので
ちょっと不思議に思っていましたね

やがてきにろが小さなこんちゃんを連れ帰ってきたとき・・・新しいときの流れがはじまるなんてそのときはだれも
考えていなかったせしょう・・・まあうさ太かあちゃんはなにもかもわかっていたのかもしれませんがね


不思議のうさ太

かあちゃんは「うさ太はお月様に来てからとても幸せそうね」とうれしそうにいいました
「そりゃかあちゃんにあえたんだもん幸せいっぱいだよ それにゆう太ときにろ・・・家族も
増えたんだよ」「それに灰色さんたちに会えたのはうさ太にとってとてもよかったでしょ?」
「うんなんか気持ちが落ち着いた感じだね・・・このことはかあちゃんは知っていたんだね」
「ええ地球にいったとき魔女さんからうさ太の誕生について聞いたのよ」
かあちゃんとうさ太かあちゃんは二人にわかることを話していましたね
わたしは小さかったしきにろもなんのことやらわからなかったようでした
ただうさ太かあちゃんが灰色さんとなにか関係があるのはわかりました
時々きにろにほうきに乗せてもらって灰色さんのところに連れて行ってもらっていましたからね
それにうさ太かあちゃんはだんだん灰色さんぽくなっていきました
肌の色やちょっぴり魔法を使うことなど・・・もちろんきにろも魔法上手に使えるようになっていきましたよ
きにろも灰色さんと関係が深かったということですね

わたしは月の森幼稚園でみんなと遊び月のことを覚えていきました もちろんわたしは地球での暮らしは
短くてそんなにとまどうことなんてなかったのですが・・・
うさ太かあちゃんときにろは月での暮らしはとまどったのでは・・・でもどちらかというと
楽しんでいました
地球での暮らしが長かったけど人間さんとはそんなにかかわっていたわけではなかったのですから

おもちをついたり赤ちゃんもちをまぜたりそれはきにろにとって特に楽しかったようですね
ひとりぼっちだと思っていたらうさ太かあちゃんと兄弟だとわかりうれしかったのにもっと
たくさんの仲間ができたんですからね
そしてきにろはやがて・・・


お月様の言うとおりに・・・

みんなはお砂場に集まってはきたけどなにをしたらいいのかわかりません
柔らかな感触を楽しんでいるだけでした なにしろお月様には柔らかな砂なんてありませんでしたから
そこでかあちゃんとうさ太かちゃんは地球のお砂場でしていたようにお山をつくりはじめました
そしてトンネルを掘りトンネルがつながるとうれしそうに手を差し伸べあったり顔をのぞかせて見つめあったり・・・二人はとても楽しそうでした
「ホラホラみんなものぞいてごらん」かあちゃんは自分たちばかり楽しんでいるのに気がついてみんなもさそいました
「アッすごいすごい」かわるがわるのぞいたり手をつなぎあったりして大騒ぎでした
「さあこうやってつくるのよ」かあちゃんはお山のつくりかたトンネルのほりかたをみんなに教えました
うさ太かあちゃんも小さな子の手助けをしてお山やトンネルをつくりました
みんなは失敗したりしながらも大喜びでした
そこに灰色さんが数人何かを持って飛んできました「お~いうさ太これでいいのかな~」
それはバケツとシャベルでした うさ太の言ったのとは少し違っていたけれど・・・
「ほらここに砂をいれてシャベルでかきまわすと・・・」あらら不思議なことに水もないのに砂はお団子ができるくらいしっとりしたのです
もちろんお月さまにはお団子なんてないので「ほらまねっこおもちができたよ」うさたかあちゃんは丸めたお砂をみんなに見せました
「わあおもちができたるよ」みんなは目をまるくしたいました「かあちゃん召し上がれ」うさ太かあちゃんがそういうと
かあちゃんはうれしそうに「まあまあおいしそうね」と食べるまねをしました
「これはまねっこおもちだからまねっこで食べるのよ」かあちゃんがそういうとみんなもくるくるしゃべるをまわしておもちをつくり
おもちをつくって大喜びです
特に小さい子はおもちをつくるのが気に入ったようで「召し上がれ」とおとなたちにすすめ「わあもうおなかがいっぱいだよ」とおとなたちもたのしそうに相手をしていました

お月様にうさ太たちがやってきたときかあちゃんは言いました
「ここは地球とちがっていろんな便利なものやおいしいものもないのよ お月様はわたしたちに必要なものは必ず与えてくれるから
うさ太やきにろは欲しいものがあったらお月様に願ってごらん・・・」
「かあちゃんおらはかあちゃんのそばにいられるだけでいいよ」きにろもうんうんとうなづきました
ひとりぼっちだったのにこんなに仲間がいるのがわかって幸せに思っていました
「でもねかあちゃん・・・おらお砂場だけはあるといいなって思うんだよ」
「そうね・・・お砂場はみんなが楽しめそうね・・・灰色さんに相談するといいわね」
それでうさ太かあちゃんはきにろにほうきにのせてもらい灰色さんのところに行きお砂場のことを相談したのです

きっとお月様も力をかしてくれたのでしょう・・・お月様の言うとおり・・・必要なものはちゃんと叶えてくれるのです