魔女きにろのひとりごと一覧

地球が見えないよ

「バリアは森の木の葉を使います・・・落ち葉をいっぱい集めてくださいね」
灰色さんはそう言い残して魔法のほうきに乗って森にもどっていってしまいました
「さあみんなで力をあわせて落ち葉を集めましょうよ」こどもと赤ちゃんを抱いたおとなを残して
みんなは森に行きました

たくさんの落ち葉が集まりましたが・・・さあてこれをどうやってバリアにするのでしょうか
その時森の奥からなにかがやってきました
「ワァ・・・なんだなんだ?」
それは魔法の木の大群がとんできたのです もちろんみんながけがでもしてはいけないからゆっくりとですがね

魔法の木の山と落ち葉の山ができました
灰色さんが何人もやってきました
「落ち葉をみんなでもんでください」灰色さんの指示に白色さんも黄色さんも従いました
「もーみもーみもみましょう 落ち葉をバリアにするために もーみもみもみもみましょう バリアで月を守りましょ」
灰色さんは魔法の木を‎縦にわりはじめました そしてそれをならべて筏をつくりはじめたのです
なにしろ灰色さんだから仕事がはやいのです(魔法を使ったの?)そうでしょうねきっと魔法を使ったのでしょう

もんでいた落ち葉はやがてフワフワと白い雲のようになってきました
砂に浮かぶ大きな筏と白い雲・・・長耳族を守ってくれるのでしょうか

灰色さんは筏に囲いをつくりました そして白い雲で筏をつつみました 囲いも雲でおおいました
木の筏に絨毯を敷いたようになりました
「さあさあこどもたちと赤ちゃんを抱いたおとなは筏に乗ってくださいね」
「この筏は空を飛ぶの?」小さな子が聞きました
「いいえ浮いてはいるけど空は飛びませんよ でもどうしても飛ぶことが必要にまったときは灰色全員で魔法を使えば・・・飛ぶかもしれませんよ」
灰色さんはこどもが大好きなのでやさしくこたえていました
「こどもたちと赤ちゃんはここにいれば大丈夫だとおもいます みんなは気をつけてくださいね・・・とはいっても
目に見えない時空の穴ですからね~~」

「さあ今度は毒から守るためにバリアをはりますよ」
灰色さんは雲を手にするとほうきでとびはじめました 「もっと落ち葉をもんでください」
「でも・・・もう落ち葉がないのですよ」そういいかけるとパラパラパラと木の葉が落ち始めました
「命の木も助けてくれるようです」灰色さんがうれしそうにいいました
「も^みもみもみもみましょう・・・・」
またみんなは協力しあってもみはじめました
白い雲の天上をつくるようにバリアをはりました 何回も雲をとりにきてはまた空を飛びやがて白い天井ができました
命の木は必要なだけ葉を落とし続けていました
「さあ今度は壁をつくりますよ たいへんでしょうけどがんばってくださいね」
「いやいやわたしたちにくらべたら灰色さんたちのほうがたいへんですよ」
壁も出来上がり危険な表側はバリアで囲まれました 裏側の方にも少しバリアをはり出入り口は森からだけにしました
森はもともとバリア機能がありますからね(おらのこの家のようになったの?)
そうですね・・・ここもバリアがはってありますね
「ああ・・・もう地球は見えないね」地球の姿はぼんやりと見えているだけです
白色も黄色も地球をいつもみていましたからとても悲しそうでした


変わりゆく日々

地球を見ることができなくなってみんなは夜になると裏側から星空を見つめていました
こどもたちも赤ちゃんを抱いたおとなたちも筏の裏側になっているところに集まって星を見つめていました
「地球はもう見えないの?」こどもたちが聞きました
「毒がこなくなればバリアをはずせるかもしれないね」みんなさみしげに星を見つめるだけです
「ぴょん太は帰ってこれるのかな~」「きっと泣いているよね」
さらにさみしさが増すのです

しばらくすると灰色さんが大勢飛んできました 背中に袋をしょっています
白色さん黄色さんたちは何事かと集まってきました
「ゴロゴロゴロ」ふくろの中身をだしました それは数えきれないほどの水晶玉です
そしてそれをこねるようにもみはじめたのです 固い水晶玉がまるでおもちのようにクニャクニャと
なりさらにもみつづけると大きな水晶玉になったのです
灰色さんたちは疲れも見せず今度は水晶玉を長方形に伸ばし始めました
「これは・・・いったいなんですか?」
「みんながあまりにさみしそうなのでなにかいい方法はないかと考えたんですよ」
そして長方形の水晶玉をさすりながら心の言葉で魔法をかけはじめたのです
「ワッ!!」みんなはびっくりしました
そこにはなんと地球が見えたのです(テレビなの?)いいえちょっとちがいますね
「こうやって左右とか上下に動かすと見える場所が移動しますよ」「すごいね~」
「それからポンと軽くたたくと・・・ほらこんなふうにその場所がもう少しこまかいところまで見えます」
「これが地球なの?」
今まで地球の表面の姿しかみてことがなかったのでみんなびっくりしました
「このくらいがこれで見える限界ですね・・・」灰色さんは申し訳なさそうに言いました
「いいえいいえこんなに見えるなんて信じられないですよ」
ほんとうにありがとう」みんなうれしそうにお礼を言いました
「こどもとちにも・・・」灰色さんは少し小さい水晶玉の画面を筏においてくれました
こどもとたは大喜びで画面を見つめ灰色さんが説明してくれたとおりに画面を動かしていました
「いろんなよころが見えるよ」灰色さんはこどもたちが喜ぶ姿を幸せそうに見つめていました

「ねえ灰色さん・・・ぴょん太はどうなっちゃうのですか?」
「今黒色ともいろいろ相談しあっているのですが・・・なかなかいい案が見つからないのですよ
今ぴょん太さんは少し元気になって黒色の家でくらしたいます」
「ぴょん太に命のおもちをたべさせたいな~」「なにを食べているのかな~」
すると灰色さんが「おもちを送ることはできるから送ってあげましょうか」
「えっ」みんなはおもちをおくることができるときいてびっくりです
「こちらからは地球の力を借りると送ることができるのです・・・でもその逆は地球の強い力が邪魔をしてしまうのです」
みんなは画面の地球を見つめ「地球は大きいから力も強いんだね~」と肩を落としました


うさ太の誕生

ぴょん太を月に帰す方法が見つからないままその後も時空の穴に落ちてしまう者がいました
幸いこどもたちは筏に乗っていつせいか被害にあいませんでした
でも灰色さんはいろいろ方法を考えていたのです

魔法のほうきに乗せて飛ぶ・・・でもこれは長耳には経験のないことだったので怖がって飛ぶことができませんでした
空を飛ぶことを練習させようとしましたがガタガタふるえてしまった黒色さんも操縦ができませんでした
そのうち・・・月に帰ることもできずに地球で最後を迎えてしまう長耳さんもいました
ところが地球でも煙になると月に向かってのぼって行き命の森に行き着くことがわかりました
「もしかして煙になれば月に帰れるのでは・・・最後では無いときに煙で帰れば再生の薬草でもとにもどせるはずだ」
でも最後でもないのに煙にするなんてできるのだろうか・・・
灰色さんも黒色さんもいろんな薬草を考えてみました
そしてある結論がでたのでした でもそう簡単にためすなんてできない・・・そう思っていましたがどうしても月に帰りたい長耳さんが
「わたしがやってみます」といったのです(それでうまくいったの?)はいうまくいったのですよ
でも煙になるのは若いときでないとだめでした 若すぎてもだめですね 年をとっているものは月にけむりがとどいても再生できなかったんです
それでも月に帰りたいというときはそうしましたけど・・・
だからかあちゃんもわかすぎたので時期を待っていたんですよ
そのうち地球側で時空の穴を固定することができたんです
これができると月でも・・・と思ったのですが月側はなかなかできなかったんです

(それでかあちゃんも落ちちゃったんだね)実はかあちゃんが落ちたんではなくてうさ太が落ちたんですよ
(えっ!!)(うさ太が落ちたって・・・こどもは安全だったのでは?)
筏にいれば安全ですがうさ太の場合は・・・

かあちゃんはようやく筏から降りることができる年になって初めて赤ちゃんおもちをまぜるところを蜜ことができました
そしておもちが赤ちゃん煙になって腕に抱かれ赤ちゃんになっていくのを見たのです
「かわいいな~わたしも早く赤ちゃんをだっこできるようになりたいな~」
赤ちゃんは三人生まれました 少しおもちが残っていましたが赤ちゃんが」生まれるには少なかったので
誰ももうおしまいだとおもっていたのですが・・・なんと小さな煙があがってきたのです
そしてその煙はかあちゃんのところにむかってきました
かあちゃんは赤ちゃんを抱くにはまだ小さかったのですが大人のまねをしてうでをひろげました
そのときです・・・かあちゃんはびっくりしました
かあちゃんのすぐ横に時空の穴ができたのです・・・まるで赤ちゃん煙をねらったようにきたのです
赤ちゃん煙は吸い込まれはじめました
かあちゃんは思わず手をのばし赤ちゃん煙をつかまえようとしました あっというまにかあちゃんも一緒に吸い込まれてしまいました
横にいた灰色さんが気が付いて手をのばしたのですがまにあいませんでしたが時空の穴をつかまえることができました
「ワッ~~~」時空の穴はキュウーンと動き出したのです すごい力だったので灰色さんも引きずられてとんでしまいました
でも手ははなしません せっかくつかまえたのですからね
飛んでいく灰色さんを追いかけて別の灰色さんがほうきに乗って追いかけていきました・・・バリアをやぶって
二人と時空の穴はとんでいってしまいました
残った灰色さんはすぐ地球の黒色さんに連絡しました

地球の時空の穴を固定している森の中に住む黒色さんは大急ぎで飛んでいきました
穴の出口には・・・かあちゃんが気を失って倒れていました
手には赤ちゃん煙をしっかりにぎりしめたままでした・・・赤ちゃん煙はダラリとなっていて生きているのかわかりません
黒色さんはすぐバリアでくるみこの家に連れてきたのです(この家はもうあったの?)
ええ時空の穴を固定したときにつくりました ここは月と同じ環境にしてあるので月に帰るための煙にしやすいのです
家に着くと黒色さんはすぐにかあちゃんに薬草を飲ませました かあちゃんが目をあけました
黒色さんを見るとびっくりし泣きだしました かあちゃんはまだこどもでしたからね
黒色さんはかあちゃんの手から赤ちゃん煙をそっと取ってかあちゃんの腕をあかちゃんがうけとれるようにひろげました
赤ちゃん煙をうでにだかせましたが・・・赤ちゃんになりません
黒色さんは薬草を細かくして赤ちゃん煙にふりかけました
やがて・・・煙はフワフワとゆれながら赤ちゃんになりはじめました
かあちゃんはもう泣き止んでうでに中の赤ちゃんを見つめていました


t地球でのはじまり・・・

運転手の話を聞きながらうさ太は泣いていました
「うさ太どうしたんだい?」きにろが心配気に聞きました「おらのせいでかあちゃんは落っこちたんだよ
それなのしおらはかあちゃんがお月様に行っちゃったのをおらは恨んだよ おらをおいてくなんてひどいやって」
運転手はちょっと困った顔をしてまた話をつづけました
「なんて小さな赤ちゃん!!」かあちゃんはおどろいていました
「そうだね・・・でもりっぱな黄色族だよ・・・青いきれいな目と黄色い肌は黄色族そのものだ」
赤ちゃんは青い目でかあちゃんを見つめていました「かわいい~」かあちゃんはうれしそうに笑いました
しばらくパタパタ手足を動かしたいた赤ちゃんはやがて眠ってしまいました
「赤ちゃんも寝たことだしおまえも休むといいね・・・疲れただろうし」
「はい」かあちゃんはそういうと赤ちゃんを床に置きその隣に横になりました
月にいたとき筏の上では皆そうして寝ていたからです
「地球では布団というものを使うんだよ・・・ほらその棚にはいっているだろう」「布団?」かあちゃんはキョロキョロしました
黒色さんは棚から布団をだしました「ああ・・・これはあまりふたりにはあわないね・・・ちゃんとしたのをもってきてあげようね」
なにしろこんな小さな子が落ちてきたことがないので大きな大人用の布団でした
大きな布団にふたりを寝せ白いおおきなタオルをかけてやりました「気持ちのいいものですね」かあちゃんはそう言いながらうとうとしはじめやがて眠ってしまいました
「フフフやっぱりこどもだね・・・かわいそうにこれから長いあいだこうやって地球で生きていかなければならないんだ」
黒色さんはそっと窓からほうきに乗って帰っていきました
小さなこどもともっと小さな赤ちゃんを空から月が見つめていました


かあちゃん誕生

かあちゃんは「コトッ」という小さな音で目をさましました
黒色さんがほうきを立てかけた小さな音でしたが長耳の敏感な耳には聞こえてしまったのです
キョトンとした顔で黒色さんを見ていましたが月から落ちた悲しいことを思い出しました
「よく眠られたかい?」「・・・はい」かあちゃんは小さい声で答えなした
「それはよかった・・・おなかがすいただろ?おもちを持ってきたからこちらにきて食べるといいよ」
テーブルにおもちの入った箱を置き足元におおきな荷物をおきました
かあちゃんは起き上がって赤ちゃんをだこうとすると「赤ちゃんがおきてから食べさせればいいからおまえは先にたべなさい」と言いました
箱の中には小さなおもちとさらに小さなおもちがはいっていました
小さなおもちを手に取ると「いただきます」と口にはこびました
「明日からはここにおもちが届くからね」「はい」
黒色さんは四角いものを出しました「これは知っているね」「はい・・・水晶玉ですね」「ウム・・・水晶玉だけど月で地球をみているものとは違う働きをするんだよ」
「?違うものが見えるのですか?」「そうだね・・・見えるというより知らないことを調べるものなんだよ」
「調べる?」「これからしばらく地球で暮らさなければいけないからいろいろ人間さんのことやこのあたりの様子を知っておかないとね」
「ここにいれば安全なのではないのですか?」「そうここは安全だけどこの中にずっといるだけでは退屈してしまうだろうね・・・」
「外に行くってことなのですか?」
黒色さんはうなずいて四角い水晶玉をかあちゃんの方にむけました
「人間さんって心の言葉で言ってごらん」かあちゃんは言ってみました
水晶玉の画面になにかでました「これに右手をあててごらん」かあちゃんは右手をそっとあててみました
「わかったかい?」かあちゃんの頭の中に人間さんのことがはいってきました
「フワァ~~すごい」「わからないことや知りたいことがあったらこうやって調べるといいよ」
かあちゃんは頷きました「今度は人間さんの親子って思ってごらん」
「はい・・・」またなにかでました 右手をあてると頭の中に不思議なことがでてきました
「赤ちゃんはおかあさんがってひとが・・・おかあさん?」かあちゃんは首をかしげました
「赤ちゃんの名前はかんがえたかい?」「・・・わたしが名前をつけてあげなければね・・・うさ太・・・うさ太にします」
「うさ太・・・いい名前だね」「はいお月様にいたときの仲良しだった赤ちゃんの名前です」
「・・・ふむ・・・ところでお前の名前は?」「わたしはかあ太といいます」
そのとき「かあちゃ・・んかあちゃ・・・ん」赤ちゃんうさ太が声をだしました
「ウフフ・・・お月様のうさ太も最初は口がうまくまわらなくてわたしをかあちゃってよんだんです」
「いや・・・かあちゃじゃなくてかあちゃんってよんでいるようだねぇ」
「えっ?かあちゃんておかあさんのことですね・・・なぜ?」
「うさ太にもおもちを食べさせてあげなさい」「はい」ぁあちゃんはうさ太を抱き上げおもちを口元にもっていき「あらおもちが大きすぎます」
黒色さんがおもちを二つにわけてくれました「うさ太お食べなさい」かあちゃんは小さくなったおもちをうさ太に食べさせました
おいしそうに食べ「かあちゃん、かあちゃん」今度ははっきり言いました
「まあ・・・わたしをかあちゃんって・・・うさ太わたしがおかあさんになってあげましょうね」
黒色さんはこどものかあちゃんが少し大人になったのがわかりました