ミカとルナ・・・つづき

「魔女さん誰もいないから入ってきませんか?」ミカが心に話しかけると窓が開いたわけでもないのに魔女が部屋の中に
いました。
「おやおや遠足には行かなかったのかい?」
「わたしは・・・病気だから外にはいけないのよ。でもおにいちゃんはうれしそうに遠足にいったわ」
魔女はミカを見つめ「そうかい」とうなづき「どこに行ったのかね」とききました。
「森が丘公園よ。新しくできたところでアスレチックがあるんだっておにいちゃんはたのしみにしていたの」
魔女は黒い服の中に手をつっこみ何かをとりだしました。「ワァ~水晶玉ね」ミカは目をみはり煮詰めました。
「フム・・・」魔女はうなずきなにかブツブツ言いながら水晶玉を持った手をグル~~っとまわしました。
するとどうでしょう・・・早の中に森が丘公園があらわれたのです。もちろんさわることはできませんけどね。
ミカは大喜びです。まるで一緒に遠足にいったみたいですから。
おにいちゃんのルナをさがすとアスレチックにいました。ネットの上を少しへっぴり腰でわたっていました。「
「おにいちゃんがんばれ~」ミカは応援の声をかけました。声は聞こえないのですがルナは無事ゴールしました。
「ピッ~~~」笛の音が響き「お昼ですよ~~みんな先生のまわりに集まってくださ~~い」と声がすると
みんなが走って先生のまわりに行きそれぞれリュックからシートとお弁当をとりだしました。ミカもママがおいていってくれた
お弁当をうれしそうにひろげました。
みんながそれぞれのお弁当を見せ合ったりおかずを交換したりしながら食べ始めると「魔女さんも召し上がれ」と
ミカはお弁当をすすめました・
「いや・・・わたしは・・・」魔女はドギマギしながらお弁当をのぞきこみ「これは?」と指さしました。
「それはおにぎりよ。のりがまいてあるの」「これをいただこう・・・」魔女はパクリと口にほうりこみました。
「おいしいでしょ?」ミカが言うと「魔女は黒いものしかたべないんじゃよ・・・」それを聞くとミカはビクリとしました。
だっておにぎりの黒いのはのりの部分だじぇで中は白いごはんだからです。
「黒いもの以外を食べたらどうなるの?」小さい声でいいました。
「さあね~~食べたことがないからわからないね・・・でも魔女ばあちゃんはいろいろ食べてるみたいだけどどうってことないからね」
ミカはみんなと一緒に食べているような気持ちにんっていつも食欲がないのにパクパクと食べることができました。
パタン・・・音がしました。魔女はぱっと水晶玉をしまいました。
「ママが帰ってきたのよ・・・だいじょ・・・」もう魔女の姿はなくもちろん森が丘公園もきえてしまいました。
外を見るとに黒い小さなかげが遠ざかっていくのが見えました。
ミカはがっかりしてしまいました・・・公園消えてしまったのですからね。

「ただいまミカ」ママが部屋にはいってきました。
「おかえりなさいママ」
「あらまあ・・・」ママはからっぽになったミカのお弁当箱を見てびっくり、そしてうれしそうに「いっぱい食べたのね」
「フフフ」ミカはちょっと自慢気な顔になりました。魔女が楽しいひと時をくれたことは話しませんでした。
おにいちゃんの話を聞く楽しみがうすれてはいけないと思ったからです。
ママはからっぽのなったお弁当箱をかたずけようと手にとったとき小さなどんぐりの実がひとつぶ落ちているのに気がつきました。
「???」
「ただいま~~~」ルナの元気な声がひびきました。「わぁ~~いおにいちゃんが帰ってきた~~」ミカは大喜びです。
「おかえり~~おやつを持ってくるわね。ゆっくりお話しを聞きましょう」ママもうれしそうでした。

三人でおやちを食べながらおにいちゃんの話をききました。ミカはいつもより様子がよくわかりました。
なにしろ魔女の水晶玉でいりろ見せてもらってましたから・・・
「ほらおみやげだよ」ルナが木の実や色とりどりの木の葉をとりだしました。「まあなんてきれいな色」
「大きなどんぐりだろ」「帽子をかぶっているのね」
楽し気な二人をママはうれしそうに見つめていまた・・・


短いお話・・・ミカとルナ

「おにいちゃん、てるてる坊主できたよ」おにいちゃんのルナははミカのさしだした小さなてるてる坊主をうけとると、
窓辺につるしました。
「明日は雨だってい天気予報が言ってたからこれは効果がないかもしれないよ」
「大丈夫、魔女さんにも頼んでおくから明日はきっと晴れるわよ」ミカは自信たっぷりでした。

「ママ、おにいちゃん、わたし魔女さんとお話したの」ミカはうれしそうに言いました。
「魔女さんと?」ママはびっくりし、おにいちゃんは「本物?」と目を丸くして。

「魔女さんはおもしろい顔をしていたわ。黄色い肌にうさぎのような長い耳をしていて、顔も
とぼけたうさぎみたいなの。お話にでてくるようなおばあさん顔ではなかtったわ。話し方はおばあさんみたいだったけど
なんだかおにいちゃんくらいのこどもみたいだったの。でもそんなこと言ってはいけないと思ってだまっていたけどね。
なにをしているの?って聞いたらお空の掃除をしているんだって。お月様やお星さまがよく見えるようにって。」

だからミカは魔女さんが助けてくれるというのでした。
ルナはちょっと心配気にミカを見つめました。

ミカは生まれたときから病気のためベッドがミカの世界でした。外のことはテレビをみたりルナからの話でしか知らなかったのです。
遠足のこともおにいちゃんの話を聞くことをとても楽しみにしていたのです。
雨の音は相変わらずでした・・・・

カタコト・・・台所で音がしてうます。ミカは飛び起き窓の外を見ました。晴れてはいませんでしたが雨はあがり雲の色も
もう雨を感じさせませんでした。
「ミカ~遠足にいけるよ」ルナがうれしそうにやってきました。「雨もあがったし道もぬかるんでないって」
ミカもピョンピョン小さなからだでとびはねました。
「やっぱり魔女さんが力をかしてくれたんだね」ルナのことばにミカはうんうんろうなずきました。
「魔女さんありがとう」心のことばでミカはお礼を言いました。

ルナはリュックサックにお弁当やおやつのお菓子をいれ元気よくでかけていきました。
ママはミカにも同じお弁当とお菓子を用意してくれました。
「じゃあママはお仕事に行ってくるわね」「は~い、行ってらっしゃい~」
ママの乗った車の音が遠くになったいきました。
空はいくらか青い空が見えてきました。もう雨は大丈夫でしょう。

コトコト・・・窓辺で小さな音がしました。「?」ミカはなんだろうと見ました。長い耳とおとぼけ顔がそっとのぞきこんでいました。
「魔女さん」ミカは驚かせないように心の声をかけました。


そして・・・誰もいなくなったみたい

人間さんが差し出したものは確かに「命の種」でした
わたしのお腹のふくろの中にいれるとふくろの口はピタリとはりつきもうあくことはありませんでした
「赤ちゃんもちがこの中にできるのでしょうか?」「赤ちゃんができるのですよ」人間さんのことばに
「おやおや・・・」赤ちゃんができるとは思ってもいないことでしたね
それから人間さんと一緒に薬草畑ですごしました
薬草を食べたりシチューをつくって飲んだり・・・人間さんとのおしゃべりは楽しいものでした
お腹は徐々に大きくなってくる不安も人間さんは「なんの心配もないですよ」と励ましてくれたのです
仲間にも赤ちゃんができたことを知らせたのでみんなやってきて大きなおなかを見てびっくりしていました
丸いお月様をいくつか数えてある満月の夜のこと・・・「あれあれ」わたしは違和感を感じお腹を見たのです
ピタリと閉じていた袋の口が開き始めたのです
「赤ちゃんが生まれますよ」人間さんが言いました
袋の口がパクリと大きく開くとモゾモゾと動いたと思ったら顔が見えました
「まあまあ」「おやおや」「これはこれは」仲間たちも声をあげました
人間さんが手をのべて赤ちゃんを抱き上げました なんということか赤ちゃんは人間さんの姿をしていたのです
わたしの腕の中に赤ちゃんが・・・ああなんてかわいいのでしょう

仲間のひとりがかわいい服をだしました 赤ちゃんに着せるとみんな「ワァ~~~」と声をあげました
お月様では服を着るということはないんですけどね 灰色族が着ているのは服ではなく布です
「名前をつけましょう」人間さんが言いました
「ママがつけなくては」みんながわたしに言いました
わたしは迷うことなく「き・に・ろ」と言うと「それはいい名前です」みんながニコニコうなずきました

「きにろ」わたしがこの名前にこだわるのは・・・灰色族としてお月様で暮らしていたとき「きにろ」と呼ばれていたのです

ひとりごとが長くなってしまったね
はやく帰らなければあの子が泣いているよ 人間パパさんも困っているかもしれない
わたしのシチュー鍋を持って帰ろうと思っていたのだけれどこのままおいといたほうがよさそうだね
いつか役にたつかもしれないしね・・・・

魔女ママは帰って行きました
もう誰もいません
でも・・・いつか・・・

====魔女きにろのひとりごと====    おしまい


人間さんの届け物

どんな不思議が起きたかは魔女さんにはわかるでしょうね
わたしがなぜ今も生きているか・・・そうです それは若返りを繰り返しているからです
わたしは年をとると森の奥に行き深い眠りにはいり目覚めると魔女シチューを飲みます
そして森を出るとそこは新しい世界になっているのです
おそらく何十年も眠っているのでしょう・・・
わたしはそうやって魔女さん探しをしているのはなぜか・・・母に言われたお礼を言うためもありますが
本当の理由はあるとき生きかえったときにおきたからだぼ変化です
なにか違和感を覚えてシャツをまくりおなかをみました
「?}なんとおなかに小さな袋ができていたのです もちろんひっぱってもとれません
そっと中を覗くと何か白い小さなものがはいっていましす
(これは命の種ですよ)心の声が聞こえました
(魔女に会ったらおなかの袋に入れてやってください)これは母とわたしを助けてくれた魔女さんの願いなら
なんとしても叶えなければ・・・そしてこの薬草畑を見つけてときこここそが魔女さんと出会える場所だと
確信したのです
ここを訪れていればきっと魔女さんに会えると・・・何度もきてみました
そして今目の前に魔女さんがいる・・・ああなんと長い日々だったでしょう この喜びはわたしだけでなく
わたしの中の魔女さんのものでもあるのです
さあ・・・魔女さんこの命の種を受け取ってください


人間さんの話・・・さらにつづき

この旅がわたしの不思議な人生の始まりでした
世の中は領地争いで戦いばかりでした わたしはそれを避けながら旅をしていたのですが
ある日とうとう巻き込まれてしまったのです
飛んできた一本の矢がわたしの胸にささったのです するどい痛みが走りました
(森に逃げなさい)心の声に従って森を目指しヨロヨロと・・・そのうち痛みが消えたのでなんとか森にたどりつき
大きな木に隠れるように倒れこみました
赤い血がたくさん流れわたしはもう死ぬのかもしれないとおもいました 怖くはありませんでした
おかあさんのもとにいくんだろうと思ったからです
気が遠くなっていきました
・・・どのくらいの時間がたったのでしょう・・・わたしは気がつき目をあけました
でも最初は死んだんだとおもったのです「おかあさん」でも誰もいません
ただ空に丸い月がわたしを見つめるようにやわらかい光をおくっていました
「わたしは生きているの?」月にたずねてみましたが月はこたえません
ふと胸に手をやり「あれ?」矢がないばかりか傷さえないのに驚きました
起き上がるとそばに矢がバラバラになっておちていました そしてなんということか魔女シチューがコトコト
煮えていたのです(飲みなさい)
わたしは迷うことなく飲みました「おかあさんこれが不思議なことなんですね」
でも不思議なことはこれだけでなかったのです
元気がでたのでまた旅を続けようと森をでたのです
わたしはびっくりを通り越して・・・これはやっぱり死んだのでは・・・と思いました
目の前にひろがる世界はみたこともないものでした
綺麗な街並み 清潔な服を着た人々 おいしそうなものを売っているお店
戦いのために荒れた土地 ぼろを着た疲れ切った顔の人々 家も焼かれたり壊されたりしていたのに
わたしはみすぼらしいかっこうをしていたのでどうしようかと足を止めてしまいました
(大丈夫ですよ)心の声が聞こえました いつのまにかわたしの服は清潔なものに変わっていました
思い切って話しかけました「戦いは終わったのですか?」「なんの戦いですか?」
その言葉にこたえはわかりました
わたしはとても長い間眠っていたようです
これが不思議なことなのですね・・・もう一度わたしは思いました
不思議なことのはじまり・・・