人間さんの話・・・さらにつづき

この旅がわたしの不思議な人生の始まりでした
世の中は領地争いで戦いばかりでした わたしはそれを避けながら旅をしていたのですが
ある日とうとう巻き込まれてしまったのです
飛んできた一本の矢がわたしの胸にささったのです するどい痛みが走りました
(森に逃げなさい)心の声に従って森を目指しヨロヨロと・・・そのうち痛みが消えたのでなんとか森にたどりつき
大きな木に隠れるように倒れこみました
赤い血がたくさん流れわたしはもう死ぬのかもしれないとおもいました 怖くはありませんでした
おかあさんのもとにいくんだろうと思ったからです
気が遠くなっていきました
・・・どのくらいの時間がたったのでしょう・・・わたしは気がつき目をあけました
でも最初は死んだんだとおもったのです「おかあさん」でも誰もいません
ただ空に丸い月がわたしを見つめるようにやわらかい光をおくっていました
「わたしは生きているの?」月にたずねてみましたが月はこたえません
ふと胸に手をやり「あれ?」矢がないばかりか傷さえないのに驚きました
起き上がるとそばに矢がバラバラになっておちていました そしてなんということか魔女シチューがコトコト
煮えていたのです(飲みなさい)
わたしは迷うことなく飲みました「おかあさんこれが不思議なことなんですね」
でも不思議なことはこれだけでなかったのです
元気がでたのでまた旅を続けようと森をでたのです
わたしはびっくりを通り越して・・・これはやっぱり死んだのでは・・・と思いました
目の前にひろがる世界はみたこともないものでした
綺麗な街並み 清潔な服を着た人々 おいしそうなものを売っているお店
戦いのために荒れた土地 ぼろを着た疲れ切った顔の人々 家も焼かれたり壊されたりしていたのに
わたしはみすぼらしいかっこうをしていたのでどうしようかと足を止めてしまいました
(大丈夫ですよ)心の声が聞こえました いつのまにかわたしの服は清潔なものに変わっていました
思い切って話しかけました「戦いは終わったのですか?」「なんの戦いですか?」
その言葉にこたえはわかりました
わたしはとても長い間眠っていたようです
これが不思議なことなのですね・・・もう一度わたしは思いました
不思議なことのはじまり・・・

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