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ゆう太は未来へ・・・そして

わたしは森の中にいました
もちろん地球の森です お月様の森とちがって重い暗い色をしていました
「怖い」こんな感情はもったことがなかたのでびっくりしました「大丈夫だよ」こんちゃんが心の中でいいました
わたしはこんちゃんの力をかりドリームバスの運転手とパン屋をやりながらうさ太やきにろにとしりあうように
したのです
うさ太を初めて見たときあまりの小ささにお月様で暮らせるのだろうかと心配になったものです
きにろとの出会いはこんちゃんがうれしさで興奮したので飛び出してくるのではと思ったりもしました
そしてわたしたちは無事ふたりを月にむかって出発させたのです

「そのあとどうして未来にかえらなかったのかね?」魔女ママが不思議そうな顔でききました
「時間の交差がちょうどいいときでないとだめなんだそうで・・・そのときがくるまでわたしとっこんちゃんは
バスで地球をまわりいろいろみてきたのですよ」
「地球はどうでしたか?」魔女ママは聞きました
「人間さんは不思議ですね・・・なんだかとても心配です」「おやおや」
「でもこんちゃんはなにかいい発見があったみたいでうれしそうでした」「おやおや・・・それはいったいなんで・・・しょうか」
魔女ママが言いかけると・・・ありゃ~~~ゆう太はユラユラとゆがんで消えてしまいました
「あれあれ・・・行ってしまったよ まあきっとうまく未来に帰れただろうね あのこんちゃんのこtだから
大丈夫だろうね・・・わたしもちょっと言いたいことがあったんだけど 」
魔女ママはブツブツつぶやきはじめました

実はわたしは赤ちゃんを産んだんですよ 灰色族でははじめてですね 赤ちゃんポッケには赤ちゃんもちではなくて
赤ちゃんそのものができるってことをこんちゃんにおしえたかったけどきっと未来に帰ればわかることでしょうね
その赤ちゃんができるためには大事なものがあるんですよ
長耳族のじっぽにはこの大事なものが生まれたときからあるから赤ちゃんもちができるんですよね
でも灰色族にはこの大事なもの「命の種」そのものがないから子孫を残すことができなくて自らを若返らせて種を絶やさないように
しなければばらなかったわけです
「命の種」のことを教えてくれたのは地球に落ちてきた白色さんでした
白色さんはわたしたちが何を求めて地球にきたのかに気がつきしっぽの中に「命の種」があると言ったのです
そしてその大事なものを二つあるからと言い一つ私たち暮れ月に帰っていったのです
わたしたちにはしっぽがないのでなにかいいものはないかとさがしぬいぐるみの中にいれ薬草の栄養を与え育てたのです
だけど・・・赤ちゃんもちができてもひとつではどうすることもできません
それでうさ太を誕生させたにです・・・もちろん黄色族として
だけどうさ太には「命の種」がなかったのです
それで・・・わたしたちは・・・ひどいことをしたのです
きにろの誘拐です
あまりのことにわたしたちは気が動転し大事なぬいぐるみを落としてしまったのです
でもぬいぐるみはぼうやとママの手元でかわいがられ赤ちゃんもちも育っていきました
そしてきにろのもとにきたというわけです
きにろは誘拐したことを怒りませんでした むしろわたしがママとして育てたことをとても喜んでくれたのです
わたしはきにろがかわいくてかわいくてしかたありませんでした
でも・・・


過去にむかって

こんちゃんは二人でしなければいけないことを話してくれました
「うさ太かあちゃんときにろママをお月様につれてくる手助けをしたのはわたしとこんちゃんだとしって
びっくりしたのとうさ太かあちゃんが「ゆう太ありがとう」と言った意味がわかりました
「でも助けるっていうことは過去に行くってことじゃないの?」こんちゃんはコクリとうなづきました
「そんなことってできるの?」わたしには信じられないことでした
「ずっとその魔法を習っているんだよ・・・もう完成しそうなんだよ」こんちゃんは力強く言いました
こんちゃんはちょっと首をふると「大急ぎで仕上げしなければね・・・だからゆう太~これから灰色さんのところでお勉強してこなければならないんだよ」
わたしは息をのみました
それはわたしがひとりぼっちになることでしたから 「そんなに時間はかからないよ 完成したら知らせるからね
それからぼくはゆう太の心の中にいるようにするよ」
そういうとわたしの両手をとり静かになにかつぶやいてました・・・」あれれ?わたしの心にこんちゃんがいるのを感じました
「こんちゃん」心に声をかけると「ね!!ぼくはちゃんとここにいるからね」
そしてこんちゃんは魔法のほうきにまたがると「いってきま~す」飛んで行きました
ああ・・・わたしはさみしくなり泣きそうになりました「ゆう太ここにいるよ」こんちゃんの声がきこえました
「うん」少し元気になりそっと胸に手をあてると暖かいこんちゃんの手にふれました
長かったような気もしましたがこんちゃんの呼び声がしたのは意外と早くでした
「ゆう太大急ぎで魔法の森の入り口にきてよ」
わたしは走りました 命の森にはいりかあちゃん・うさたかあちゃん・きにろママに「行ってきます」とあいさつをし
魔法の森にむかいました
わたしはもう大きくなっていたので魔法の森にははいれません
いりぐちにはこんちゃんが手を振ってわたしを待っていました
「ゆう太魔法が完成したよ」わたしはコクリと頷くだけで言葉がでませんでした
こんちゃんは「フフフその前にゆう太に見せたいものがあるんだよ」そう言うとこんちゃんはからだをおおっている
ピンクの布をヒラリとまくりました
「わぁ~エプロンポッケだ」そうです こんちゃんのおなかにはフワフワの小さなポケットがついていたのです
「これはぼくが地球からくるときにくるまれていたぬいぐるみの布だよ 大事なぼくの思い出がつまっているから
灰色さんにポケットをつけてもらうときにこれにしてってたのんだんだよ」
「なぜポッケをつけたの?」「長耳さんには赤ちゃんしっぽがあるでしょ?灰色さんには赤ちゃんポッケがあるんだよ
うさ太かあちゃんはしっぽがあったけどぼくにはなかったからね しっぽかポッケをつけようとしたとき
ぼくのからだのつくりは灰色さんと同じだっやからポッケになったんだよ」
「灰色さんには赤ちゃんもちはどうしてできないんだろうね」
「・・・そうだね・・・」こんちゃんはちょっと哀しげにうつむきました
「でもきっと未来にはできると思うよ・・・さあ過去にむかって出発するよ」
「こんちゃんも一緒だよね」「うん心は一緒だよ からだはここで魔法をかけていなければいけないから
ゆう太の心にいるからね」
「うんちゃんとこんちゃんを感じているよ」
こんちゃんは目をつむり口魔法をかけはじめました
「あっ」
わたしのからだはグニャリとゆがみました・・・


ふたりぼっちになって・・・

かあちゃんもきにろママも命の森にいったけどうさ太かあちゃんはそんな様子はありませんでした
みんなそれはうさ太かあちゃんは灰色さんなんだろうといいました「魔法も使えるしからだも同じくらいの大きさだものね」
こんちゃんもわたしもそんな気がしていました

でも・・・ある朝のことです
「あっ!!」大きな声をだしてうさ太かあちゃんが飛び起きました
「どうしたの?かあちゃん」こんちゃんもわたしもその声にびっくりして起きてしまいました
「ああ・・・二人とも・・・おらもいよいよ命の森に行く日がきたよ」
「えっ?」聞き間違えかと思いました
でもうさ太かあちゃんのからだはゆらゆらしていたので本当なんだと感じました
うさ太かあちゃんはわたしたちに言いました「いいねお別れじゃないのはわかってるよね」
「はい・・・」わたしたいの声は小さく震えてしまいました
「こんちゃん・・・ゆう太のことを守ってね・・・ゆう太はこんちゃんを信じてがんばるんだよ」
わたしにはうさ太かあちゃんの言ってることが理解できませんでしたがこんちゃんは「はいしっかりお勉強して
絶対に成功させます」と力強くこたえました
「ゆう太かあちゃんはとても幸せだったよありがとう」そう言ってわたしを抱きしめました・・・わたしのほうが
大きくなってしまっていたのですけどね
そしてこんちゃんのことも抱きしめ「さあついておいで」と言うとフワリと白い煙になりました
小さな小さな煙でしたね
そして命の森にいくとかあちゃんの木ときにろママの木の間に少し小さな木がありそこにすいこまれていきました
両側の木がサワサワと優しい音をたてました
こんちゃんとわたしは木に抱き付きうさ太かあちゃんを感じ取りホッとしました
かあちゃんの木ときにろママの木にも挨拶をしました

ああ・・・とうとうふたりぼっちになってしまいました
仲間はいたけれどさみしさがおしよせてきました
ふたりぼっちの部屋は広くてさむざむじく身のおきどころがないように落ち着きません
こんちゃんはしばらくだまってなにか考えているようでした
「ねえゆう太・・・ゆう太も少し感じ始めたよね・・・なにか時の流れにひずみがではじめてるのを」
「・・・そういえばなにかすこしへ・・ん・・・かもしれない」
うさ太かあちゃんが命の森に行ってからなにかがずれたみたいで・・・それはさみしさだけでなく・・・
「うんうさ太かあちゃんが灰色族として生き続ければとくに問題はなかったんだよ でも命の森にいったということはうさ太かあちゃんの
存在をちゃんとしなければお月様の数合わせがくるってしまうからね」


命の森に・・・

「あれれ?ママはどこ?」きにろママはキョロキョロしました
「だいじょうぶだよ 廃位栄さんがちゃんとお世話してくれるから」うさ太かあちゃんがいいました
きにろママは安心した顔になりました
こんちゃんは落ち貴様の仲間たちを見回してニコニコわらっていました
もうすっかり元気になっていました
「なんてかわいいの?」「きれいな色だね~」みんなはこんちゃんにくぎずけでした

しばらく日がたって灰色さんが新しい二本の魔法のほうきをもってとんできました
「ほら「新しいほうきですよ うさ太ときにろのですよ」
「ママは?ママのほうきは?」きにろママは心配そうな顔をしました
「・・・魔女ママは地球に帰りましたよ・・・地球での生活が長いので完全復活するには地球にもどる必要があったんです」
きにろママはがっかりしました「一緒に暮らせると思ったのに」
「魔女ママはちゃんときにろを見守っているからと言ってましたよ 元気になればまた遊びにくるでしょう」

うさ太ときにろママは新しいほうきに乗って時々灰色さんのところにでかけました
きにろママはこんちゃんを抱いて一緒にでかけました
こんちゃんは魔法のお勉強をしていたようです
やがてきにろママが大きくなってしまいほうきのバランスがとれなくなるとうさ太かあちゃんが
抱いていきました
そしてこんちゃんはひとりでほうきにのれるようになると・・・灰色さんと同じように薄いピンクの布を身につけるようになりました
灰色さんは走り回ることはなかったのですがこんちゃんはみんなと走り回って遊んだのでひらひらとおインクの布がゆれてとてもきらいでしたね
今までと違ってお月様での生活は楽しく愉快なものになりました
月の森幼稚園はおとなもこどもも新しい遊びが加わってもう地球を見つめているだけではなくなったのです

月日が流れれば命の森に帰って行く日がきます
みんなそれはごくふつうのことと受け止めています
地球で長く暮らしていたかあちゃんは同じときに生まれた兄弟(地球的表現ですね)よりも成長が遅かったけれど
やがて・・・その日はやってきたのです
「うさ太・・・みんなも・・・かあちゃんは命の森に行くときがきました」
「えっ」うさ太かあちゃんは目を見開いてかあちゃんを見ました
かあちゃんは静かにうなずき「これはお別れではないのよ・・・かあちゃんの姿がかわるだけなのよ」とうさ太を抱きしめました
「さあうさ太 そしてみんなもついていらっしゃい」かあちゃんはそういうとフワァ~~と白い煙になり
命の森のほうにフワフワ飛び始めました
「かあちゃん」うさ太かあちゃんは声をふるわしかあちゃん煙をおいかけはじめました
もちろんわたしたちも・・・
かあちゃんは一本の木にすいこまれました
「かあちゃ~~~ん」うさ太かあちゃんは泣きながらその木に抱き付きました
きにろママはどうしていいかわからなくてオロオロしてしまいました
でもしばらくするとうさ太かあちゃんはあれ?というような顔をしました「かあちゃんだよ・・・この木はかあちゃんだ」
わたしたちも木に抱き付きました「ほんとだね かあちゃんがいるよ」
それは姿を変えたかあちゃんでした
かあちゃんはいなくなったわけではなかったのです
それからはかあちゃんに会いたくなったらトコトコと命の森のかあちゃんの木にだきつけばいいのです

月日は穏やかに流れみんな月の森幼稚園で仲良く楽しくすごしていました
うさ太かあちゃんはあまり灰色さんのところにいかなくなりました
「おらのできる魔法はこのくらいみたいだね・・・」
でもこんちゃんはまだまだお勉強があるようで「いってくるね~~」と手をふってでかけることが多くありました

そして・・・「こんちゃん・・・ママの番がきたようですよ」ときにろママは言いました
「えっ?」こんちゃんはきにろママに抱き付きました
「これがお別れではないことはわかりますね」「はい・・・」わかってはいてもこんちゃんはうつむきました
「うさ太かあちゃんもゆう太もいるからなにも心配はないしいつでもママにあいにくればいいのですからね」
「はい・・・」こんちゃんの声はふるえていました
うさ太かあちゃんがこんちゃんを抱きしめました
「さあ・・・こんちゃんついていらっしゃい!!」きにろママはふわりと白いけむりになり森のほうに流れていきました
こんちゃんは「ウググ」と奇妙な声をだしトコトコおいかけました
もちろんわたしたちも・・・
かあちゃんの時と同じように木の中に消えていきました
「ママ!!」こんちゃんのかなしげな声が響きました
でもしばらくするとこんちゃんはママを感じたようでしばらく木に抱き付いたいました

お別れではないってわかっていても姿が消えるとびっくりしますからね


こんちゃんがやってきた

月の仲間たちは地球に行ってしまったきにろがもどってくるか心配していました
「うさ太かあちゃん・・・きにろはどうして地球に行ってしまったの?お月様が嫌いになってしまったの?」
「大丈夫きにろは帰ってくるよ・・・素敵なおみやげをもってね」
「おみやげ?地球のおみやげ?」みんなは顔を見合わせてちょっとうれしそうに「おみやげってなんだろうね」と言い合っていました
やがて飛び立っていったときと同じように猛スピードの魔法のほうきが飛んでくるのが見え始めました
「きにろだよ きにろが帰ってきたよ」
灰色さんが数人ほうきにのって慌てて飛んできました
何か持っていました・・・魔法の木で作ったボールに薬草がたくさんはいっていました
そしてそれをかき回しながらなにか魔法をかけているようでした
薬草はグニョグニョとしはじめやがて白い液体になりました
お月様には水のようなものはありません みんなはびっくりして見つめていました
わたしたち地球にいたものだけがそれがミルクだということがわかりました
ゴォーと大きな音がしてきにろの乗ったほうきが飛び込むように着陸しました
きにろは真っ青な顔になっていました 魔法のほうきもささくれだってボロボロでした
灰色さんは大急ぎできにろのエプロンポッケから赤ちゃんをとりだしました 小さな青白い赤ちゃんが
ぐったりとなってでてきました
灰色さんは慌ててミルクの中にあかちゃんをいれからだをそっとなぜながらなにか魔法の言葉をつぶやいていました
もうひとりの灰色さんは小さないれものにミルクを入れきにろに飲ませました
またもうひとりの灰色さんは魔法のほうきにミルクをあたえました
ほうきはゴクゴクとミルクをのんでいるかのように柄の先をミルクの中につっこんでいました
あんなにささくれ傷ついていたのにほうきはきれいになっていきました
でも灰色さんはほうきをかつぐと大急ぎで魔法の森にむかって飛び立って行ってしまいました

やがてミルクの中の赤ちゃんはゴクリゴクリと小さな口でミルクを飲み始め顔色も薄いピンクになってきました
「もう大丈夫」灰色さんは赤ちゃんを抱き上げきにろの腕の中にいれました
「ママ」小さな声で赤ちゃんはきにろを見つめながら呼びました「ああ・・・こんちゃん」きにろはやさしい声で
赤ちゃんに声をかけそっと抱きしめました
そのときからきにろはみんなから「きにろママ」とよばれるようになったんですよ
みんなは薄ピンクで三角耳の小さな赤ちゃんに見とれてしまいました
パチリと開けた目は紫色でしたからそれもびっくりしてしまったのです
お月様では見かけない色でしたからね
こんちゃんは元気に育ちました 小さかったけどね
月の森幼稚園ではわたしのあとを「ゆう太~」追いかけまわし家に帰ると「ママ~ママ~」ときにろママにだきついれいました
地球はますます汚れわたしたちを囲うバリアは厚みを増し見上げてももう地球のかたちすらみえませんでした
わたしたちは水晶玉でしか地球を見ることはできなくなっていたのです
少しずつなにかが変化をし始めていたのでしょう・・・