kiniro一覧

魔女はワクワク

昼食を食べ終わるとうさ太はお買い物袋から青い長靴を取り出し「そうそう長靴にゆう太の名前を書かなくてわね」と指でスーッとなぞりました

「ヘェ~それがゆう太の名前なのかい?」魔女は不思議そうに見ました「そうだよ・・・きにろさんは文字をしらないの?」

そう言われて「誰も教えてくれないしね・・・」と魔女はちょっと寂しそうにこたえました

「それならおらが教えてあげるね」うさ太はそういうと魔女の右手をとり自分の右手をあわせました

しばらくすると「あれ?なんだろう・・・なにかからだの中にはいってきたよ」魔女はもぞもぞしました「それが文字だよ・・・おらもかあちゃんからこうやって教えてもらったよ」

そして名前の書いた青い長靴を玄関にあるうさ太の白い長靴のそばに並べておきました「きにろさんも自分の名前をかいたらいいよね おらの名前じゃおかしいものね」

魔女は黄色い長靴を手にとり「これはうさ太の名前がかいてあるんだね・・・わたしには読めないよ」「そんなときは右手でなぞるといいよ」魔女は文字の上に手をおいてみました

「オウオウなるほどこれはうさ太って書いてあるねぇ」

「左手でそっとこすってみて」うさ太に言われ魔女は文字をこすってみました「おや?消えちゃった」「そうしたら右手できにろって考えながらなぞってみて」

魔女はそうしましたがなにもかけませんでした「もっとしっかり・・・心のことばだよ」

「なるほど」魔女は心の言葉で「きにろ」と言いました

「わ~~っこれがきにろか~~」魔女は書かれた文字を見つめました「今度はなにも思わずなぞって」うさ太に言われそっと文字をなぞると・・・魔女にも読めました「きにろ」

「ねっ簡単でしょ?これからはそうすれば文字を読んだり書いて利できるよ・・・でも左手は使わないでね 文字が消えちゃうからね」

魔女は文字をおぼえたので心がワクワクしました

ただこれは・・・・

外で見かける文字とは違っています

「これはこの星の文字ではないよね・・・町で使っている文字は読めないね」魔女は残念そうに言いました

「心配ないよ・・・なぞれるものはなぞればわかるしできないときは文字を心で見つめるんだよ そうすればわかるから」

「心で見つめるか・・・」魔女はうなづきました

そして長靴のはいっていた袋の文字を見つめました

「シューズストア」そして右手でなぞると「シューズストア」なるほどというように頭をふり魔女は少しうれしそうでした

せっかく外を歩けるようになってもなにも買い物ができないうえになんだかわけのわからないことばかりだったからです

「きにろさんは同じ仲間なのにどうして文字を読めなかったのかなぁ」うさ太は不思議そうに言いました

「なにしろ頭を打ったらしく自分のことなのに思い出せないことがあるんだよ」魔女は頭の後ろの傷跡を見せました

うさ太は「なるほど・・・」と言い傷跡をそっとさすりました

「おやおや」魔女は傷跡が消えていくのを感じました

そして今更ながらうさ太が大きくなったと思いました

魔女とそんなに変わらなくなっていたのです

「うさ太は傷の治し方も知ってるんだね」「うんかあちゃんがそうしておらの傷をなおしていたから同じようにしてみたんだよ」「わたしより魔法が使えるね」

これではどちらが魔女だかわかりませんね~~~

そこで魔女はうさ太の力を借りることを思いつきました


魔女の初体験

魔女は布団の上でパタパタしている白いものをみました「???」魔女がなんだろうと思っているとうさ太はその白いものをそっと抱き上げ魔女のそばにきました

「ほら」うさ太の腕の中でパタパタ手足を動かして魔女を見つめました「かあちゃん!!」魔女がそういうと「フフフッかあちゃんはおらだよ この子は赤ちゃんゆう太だよ かあちゃんにそっくりだよね おらも最初かあちゃんって思ってしまったよ」「・・・ゆう太?・・・」魔女はその名前になんだか聞き覚えありましたが思い出せませんでした

「今朝青い箱の中から白い煙がでてきておらの腕の中で赤ちゃんになったんだよ」

魔女はその様子を見逃したことを残念に思いました

やがてゆう太はまたクゥクゥと眠りだしました

うさ太は布団の上にそっとおくとまたパタパタしたのでトントンと優しくたたくと眠りはじめました

 

うさ太は魔女のところにもどってきて「さあさあもうお昼だよおなかがすいたでしょ?さっきドーナツとミルクを買ってきたから一緒に食べようよ」お皿とコップをもってきてドーナツをのせミルクをそそぎ魔女にすすめました

魔女はまたもやビックリ眼になりました「さあ椅子にすわって食べようよ」ふたりはすわりましたが魔女は白いミルクを怖そうに見つめ「わたしは白いものを食べるt死んでしまうんだよ たぶんドーナツは大丈夫だと思うけど・・・」「アハハそんなことないよ おらもかあちゃんもなんともなかったからきにろさんも心配ないよ」「でもわたしは魔女なんだよ」「魔女だってどうってことないよ」なんとうさ太のどうどうとした物言いでしょう かあちゃんになったうさ太は態度もとてもしっかりしてきました あのベソベソ泣いてばかりいたうさ太と大違いです 魔女はその言葉で思い切ってミルクを一口飲んでみました

アッ・・・魔女はコロリと死んで・・・いやいやそんなことはありませんから安心してね

「オ~~~これは・・・」ミルクの味はなんとあの真黒なシチューと同じでした

「ドーナツはあらとかあちゃんが好きなのなんだよ お店の人気のドーナツもかったからお家に持って帰って夕ご飯に食べてね」魔女はドーナツもそっと持ち怖々口にいれました

「これはなんと・・・おいしい~~これでもし死んでしまったとしてもかまわないよ」モグモグ口に頬張りゴクゴクミルクを飲みニコニコ笑みをうかべました

魔女の初体験ですね・・・今晩死んでしまったとしても幸せな思いで死ぬでしょう・・・まあ、そんなことはありませんからご安心を


うさ太の家に・・・

うさ太はのんびりしていられません 少しでも早く帰らなければならないのです

アンポンタンの魔女に説明していては遅くなってしまいます

「魔女・・きにろさんちょっと待っててね」うさ太はドーナツ屋に飛び込み間もなく袋を持って飛び出してきた

「さあ早く早く」魔女はうさ太にせかされてバスに乗り込みました 「フワァ~~バスだ・・・」魔女は動きだしたバスの中でビックリ眼になっていました「あれ?きにろさんはドリームバスに乗ったことあつんでしょ?」「いやいやバスに乗るのは初めてだよ わたしが乗るのはボロほうきだけだよ」魔女はそう言いながら電気屋で見た充電式のタテ型掃除機を思いうかべました「あれならスピードが出ていいだろうなあ・・・うさ太に買ってもらおうかなあ・・・月まで行けるって言えば買ってくれたりして でも高そうだしうさ太だってそんなにお金を持っていないだろうな・・・」

「さあさあ降りるよ」うさ太の声で魔女は我に返りバタバタとうさ太の後に続きバスを降りました

うさ太の家にドアから入るのは初めてです いつも窓からでしたからね

うさ太も初めてのお客さんです「さあどうぞ・・・アッアッ長靴はは脱いでね」ドスドス入り込む魔女に笑いながら言いました「ごめんごめん・・・わたしの家ではそのままだからついうっかり」魔女は恥ずかしそうに頭をかきました

「ほ~~ら見てよ これが今朝おきた出来事だよ」うさたは奥の部屋を指さしました

 


もう一つの出会い

バスを降りるとうさ太はいそいでお店に行き青い小さい長靴を買いました

「そうだ タオルも買って行こう おらが使ったのじゃかわいそうだよね 新しいフワフワのタオルでなきゃね」うさ太はかあちゃんがエプロンを買ったお店にタオルが売っていたのを覚えていました

大急ぎでタオルも買いパタパタと早足で歩いているととてもいいにおいがしてきました

「あっドーナツだ・・・そういえばかあちゃんとよく食べたっけ おいしかったよな~~」

ふと立ち止まっていると「うさ太じゃないか」と後ろから聞いたことのあるような声がしました

いくら聞いたことがあるといってもうさ太には知り合いはいません びっくりしてふりむくと・・・

「だれ?」うさ太は白い長い耳の黄色い肌の青い目をした人を目にしました

「わたしだよ わ・た・し」おかしそうに笑いながらこたえました

「ま・魔女さん?」「そうそう魔女だよ・・・って魔女って呼ばれるのは困るよね わたしにもちゃんと名前があるんだよ き・に・ろ・・・ってね」

「きにろ・・・さん きにろさんって同じなの?」

もちろんうさ太は同族かと聞いたのです

だって・・・魔女はそんなこと言ったことがなかったからです

「そうだよ同じなんだよ わたしだってうさ太たちを見つけたときはびっくりだったよ・・・ドリームバスの運転手がいるんだけどあいつも長耳族であのときはひっくりかえるほど驚いたよ」

「え~~~運転手だんもって じゃ~パン屋さんも・・・」

「パン屋さんも?」「あれ?魔女じゃなくてきにろさんは運転手さんはパン屋さんって知らないの?」

「いや~しらなかったね~・・・いやいやまったく知らないことだらけだよ・・・ところでうさ太はドーナツを買いにきたのかい」魔女は自分も一つ買ってもらおうと聞きました なにしろ外はうろつくことはできてもお金を持ってなにのでよだれをたらしているだけですからね

「えっ違うよ・・・もしかしてきにろさんは今朝のこともしらないのでは?」

「今朝のことって?」

ああ まったくまぬけな魔女は今朝も眠っていてうさ太に起きたすごいことを見逃していたのです

ア・ン・ポ・ン・タ・ン!!


新しい出会い

朝になりました

うさ太は夜が明けない前にお仕事の箱を部屋に入れようとドアをあけました

「あれれ・・・」うさ太は箱の上にいつものおもちの小さな箱と一緒に青い小さな箱が乗っているのに気が付きました「なんだろう・・・」そう思いつつもそれらを中にいれました

テーブルの上におもちの箱と並べて青い箱も置きました

「あけても大丈夫だよね かあちゃん」うさ太はそばにかあちゃんがいるかのように声をかけました

もちろん返事はないのですがね

うさ太はそっとふたをあけました

あらら~~~なんだか白い煙がでてきましたよ

うさ太は老人になってしまいました・・・なんて言うのは浦島太郎のお話 ですよね

煙はうさ太の胸元に集まってきてなんだか形を作り始めました うさ太はあわてて手を差し伸べました

白い形はやがてうさ太の手の中に白い長い耳の丸いしっぽをつけた小さな赤ちゃんになりました

「エッこれって赤ちゃんだよね」そういうと赤ちゃんは目をあけうさ太を見つめました

「かあちゃん!!」そうです・・・かあちゃんそっくりの赤い目をしていました

かあちゃんを小さくしたとうなそっくりの赤ちゃんだったのです

「ああ・・・なんてかわいいんだろう」すると赤ちゃんは手足をパタパタさせて喜びニコニコ笑いました

「おや?赤ちゃんは手になにかにぎっているよ」

うさ太は赤ちゃんの手ににぎられているものをそっととりました

れはそ薄く延ばしたおもちです 広げると何か書かれています

うさ太はかあちゃんに文字を教えてもらっていたので不思議な文字でしたが読むことができました

 

{赤ちゃんの名前はゆう太です うさ太の赤ちゃんです 大事に育ててください かあちゃんにしてもらったようにすればなにも心配ありませんよ これからうさ太がしなければいけないことを書きます

いつものとうに洗濯掃除が終わったら買い物に行ってください かあちゃんに白い長靴を買ってもらったお店で青い小さな長靴を買ってください

ゆう太の名前の文字を指でさわって記憶させ長靴を買ってきたら指でなぞってゆう太の名前をかいてください これは絶対に忘れないでください

赤ちゃんはうさ太のお布団に寝かせておけば大丈夫です 決して外には連れていかないようにね 長靴が捌けるまではいけませんよ

うさ太はかあちゃんに初めて抱かれたことを覚えているでしょう 小さなおもちを食べたこともね

ゆう太にも食べさせてください

このお手紙はおもちですから小さく丸めて食べさせてね 明日からはうさ太のおもちの横に小さなおもちがはいっているからこれをたべさせてください

うさ太は赤ちゃん・・・ゆう太に小さなおもちを食べさせました しばらく抱いていると眠りましたそってお布団に寝かせるとうさ太は赤ちゃんだったころのことを思い出しました

「かあちゃんにしてもらったようにおらもゆう太を育てよう フフフほんとにかあちゃんを小さくしたみたいだね」

うさ太は大急ぎで洗濯掃除をすませ白いエプロンをしてポケットのお財布を確かめお買い物に行こうとしました

「あっゆう太が目をさましちゃった」

うさ太はそっとゆう太を抱き上げしばらくゆすっているとまた静かに眠りました

「急いで行ってこよう」

白い長靴をはいて買い物に行くのは初めてです

「おら・・・かあちゃんになったんだ・・・おらがかあちゃんだなんて・・・なんだかへんな気持ちだなぁ」

うさ太はバスに乗りかあちゃんが長靴を買ってくれたお店にむかいました