魔女のひとりごと

魔女は風でくるんで運んできた言葉をシチューの中に放り込んでつぶやきました

・・・やれやれ、こんなものでは黒いシチューにはもどらないな~~うさ太に力を貸したりすると必ずシチューは白くなってしまう 白いシチューなんて飲んでしまえばわたしゃオダブツになってしまうよ・・・

魔女は棚のビンをとりました
これにはいざというときの予備の黒い心が詰まっています
ドリームバスの運転手がもってきたものです
一ビン入れるとシチューはなんとかもとにもどりました
クルクルかき混ぜて器に一杯入れ椅子に座るとシチューを飲み始めました
お鍋には魔法をかけたしゃもじを放り込みクルクルまぜさせています
・・・これで居眠りをしてもシチューはこげないね・・

魔女は満腹になりウツラウツラふねをこぎはじめました
お鍋の中ではしゃもじまで居眠りをしているようにユラユラのんびりとシチューをかき混ぜています

ああ~~魔女は気が付いていませんでした
せっかく風を吹かせ運んできた言葉はうさ太の敏感な白くて長い耳に届いてしまったことを・・・

うさ太とかあちゃん(1)

うさ太は大好きなかあちゃんと暮らしています
かあちゃんの目は赤くてとてもきれいです うさ太の目は違います 暗い青の目です「かあちゃんおらの目はどうして赤くないの?人参が嫌いだからかな~」
するとかあちゃんはうさ太の目をのぞきこんで「うさ太の目はかあちゃんの大好きな夜のお空の色なのよ 目の中にはお月様が見えるのよ 素敵でしょ?」といいました
「えっ?お月様が見えるの?」うさ太は鏡をのぞきこみました でもお月様は見えません
「お月様いないよ~」うさ太がベソをかくとかあちゃんは「大丈夫よ そのうちうさ太にもみえるようにんるからね」

かあちゃんは真白なはだをしています 長い耳もまあるいしっぽも真白です
うさ太のはだは黄色です 長い耳と丸いしっぽはかあちゃんと一緒の白なのですが・・・うさ太は小さい頃おふろでごしごし洗えば白くなると思っていました
でもいくら洗っても白くならなくて泣きました
「エ~ンエ~ン白くならないよ~~」
「泣かなくていいのよ かあちゃんがお月様のような黄色の肌で夜のお空の色の目をした赤ちゃんをくださいってお願いしたのよ 初めて会った日を覚えているでしょ
どんなにかあちゃんが喜んだかを」
うさ太はかあちゃんに初めてだっこされたときをよく覚えています 柔らかな白くあたたかい胸の中で幸せいっぱいだったことを・・・

魔女のひとりごと

魔女のきにろはたっぷりシチューを飲んで居眠りでもしようとしていました クルクルと水晶玉をまえあしながら・・・

・・・そういえばあの日もこんなふうに水晶玉をまわしていたっけなあ

その時目にとびこんできたのがあの親子の姿

いや~~まったくびっくりこっくり目が覚めたよ

ありゃ~~これはまったくいやいや驚きだ・・・

 

魔女は親子・・・うさ太とかあちゃん・・・の姿を見てから

気になって毎日のように水晶玉を見ていましたがそのうちに親子の家にいってまでその様子をのぞき見するようになりました

 

・・・わたしにはかわった姿に見えるけどどうやら人間にはふつうに見えているようだな・・・

 

ますます気になって目が離せなくなってしまったのです

 

 

 

かあちゃんの思い

かあちゃんのお仕事は封筒はりです
朝いちばんにドアの外に置いてあるお仕事のはいっている箱とその上に乗っている小さな箱を部屋に入れます
お仕事の箱をテーブルのそばに置き小さな箱は大切に
テーブルの上に置きます
そのころうさ太は目を覚まし顔と手を洗うとお手伝いをします
テーブルの小箱からお餅のような白いものを取り出しおさらにのせます

そしてコップにミルクを注ぎます 以前はこぼしてしまうこともあったけど今は上手に注げます
それからかあちゃんのところに行ってサラダ、ハムエッグ、トーストをはこびます
「かあちゃんはパンになにつける?おらは今日はバターだよ いっぱいつけよ~っと」
かあちゃんは笑いながらイチゴジャムをとりだしました

 

テーブルの上はおごちそうですね

二人は最初にお餅のような白いボールを食べます
これは必ず食べないといけないのです 二人の命の元ですから・・・
これさえ食べればなにもいらないのですがおいしいものも食べたいですからね
「おいしいね~かあちゃん」「ほんと・・・おいしいわね」二人はしあわせそうに顔を見合わせます

かあちゃんはお餅を食べるたびに大きくなっていくうさ太をうれしそうに・・・さみしそうに見つめます
まだ封筒はりの箱はかあちゃんの分だけですがやがてうさ太の分も運ばれてくるでしょう
かあちゃんはそれが怖くてたまりません・・・・

いつまでもいつまでもうさ太のそばにいさせてください
お月様にお願いするかあちゃんですがうさ太はそのことに気がついていないのです

ああ・・・かちゃんはやがて・・・

魔女のひとりごと

魔女はうさ太はかあちゃんから生まれたのだろうけどかあちゃんは誰から?そう思い水晶玉クルクル過去に回してみました
あれれ~~かあちゃんは突然現れました
魔女は何度もやってみましたがかあちゃんは突然現れるのです しかもかあちゃんは泣いていました
毎日毎日泣いているのです
かあちゃんのまわりには日がたつにつれ箱が増えていきました どうやら封筒はりの仕事の箱のようです

やがてかあちゃんはなくのをやめてただひたすら封筒はりをはじめました ひと箱すむたびドアの外におかれ
部屋の中におかれた箱はなくなりかあちゃんは今と同じように朝夜明け前にひと箱を部屋に入れ仕事が終わると夜中にドアの外に置くというようになりました
そうすると仕事の箱の上に小さい箱が置かれるようになりかあちゃんはその中のおもちを食べるようになりました かあちゃんはやせ細っていたけどお餅を食べるようになると元気な姿に変わっていきました

・・・かあちゃんはいったいどこからきたんだろうね
このわたしにもさっぱりわからないよ それになぜあんなに泣いていたんだろうね・・・
それは魔女のきにろにも解けない謎でした
こんなことをするとシチューは白い泡をブクブクとたて
その泡にふれるたび魔法のしゃもじは飛び跳ね鍋の外に逃げてしまいます
魔女は棚のビンからどす黒いものを鍋に入れては黒いシチューにもどします

・・・やれやれこれじゃあ居眠りもできないね~・・・
魔女はグジグジとぐちってばかりです